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宝剣岳東面 中央稜

Photo_167 17日深夜に駒ヶ根高原黒川平の駐車場に到着、軽く仮眠してバス・ロープウエイと乗り継いで千畳敷へ。
 今回の山行は千畳敷の上に屹立する宝剣岳の東面「中央稜」を登ろうという計画。いつもの三人組でやってきたが、Uさんが出発前夜に手に怪我をしてしまったため登るのはMさんと二人になってしまった。

Dscf0024高山植物保護のため下部からのアプローチはできないので、宝剣山荘まで
1ピッチ登り、不要な荷物をデポしてクライミングギアだけを持って宝剣のピークへ。終了点からラペリングでサァーっと取り付きへ、のはずが・・・、いきなり1発目でロープがクラックにジャムったりトラブル連発。先行パーティも回収不能に陥って登り返してくる等ルートは大混乱。なんじゃかんじゃで取り付きに降り立ったのはなんと2時間後であった(3時間後には登り終えて帰ってきているつもりだった)。
 さて1ピッチ目。ラペルしながらざっと見たところでは、なんだかイヤ~な雰囲気である。「どうですか?行ってみませんか?」と言ってくださるMさんにリードをお願いしてしまう。案の定、出だしから3m程斜上したバンドからの垂壁が登れない。「AOしなはれ~」と言わんばかりに残置スリングが手招きをしているが、それをつかんでもどうしても次のランナーに手が届かない(ってこの段階ですでに完全なA0モードに入っている・・・)。いきなり腕力大全開の引きつけ登りで無理やり突破したが、これでは先が思いやられる。

2ピッチ目、しぶしぶリードする。が、ココは草付きと言うか腐った泥壁というか、要はゼンゼンすっきりしないパート。こういうわけのわからないところを騙して登るのはお得意だ。さっさと通過して、さあ岩だ!という部分にさしかかるが、わずか10m程しかロープは出ていないものの、そのまま突っ込むとルートが屈折して流れがひどく悪くなりそう。コレ幸いとピナクルにセルフビレーを取って、ピッチを切る(Mさんはあきれていたと思うが)。次のピッチはまたまた立った壁。「こういうところは苦手なんですよ」と言いながらスタスタと超えていくMさん。フォローの私はまたまたAO三昧となる。4ピッチ目は、5mほどの凹角からスタート。どう見ても手も足もない。ステミングで強引にずり上がり、残置ハーケンでA0A0。ところが3ピン目が、先の曲がったカタカタ動いている錆びたハーケンで、カラビナはかからないのでナッツをこじ入れようと試みるが、右手でA0してるもんだから欲しい細いナッツがなかなかギアラックから取れない。そうこうするうちに腕力がどんどんつきてきて、「手~なくなってきましたぁ~。ヤバいですぅ~」などと情けない泣き言を述べつつ、どうにかこうにかブラダイの2番を突っ込んだ。抜けるかな~?と思いつつ、無理やりつかんでカラダをずり上げ、右のカンテにほとんど腹スメア?状態でかぶりつく。はぁぁ。疲れたぜ。

Dscf0035 ところが、そこからが核心の「オケラクラック」なのである。腕ヂカラ使い果たして、ぜーぜーと荒い息を吐きながら見上げてみたが、すでに完璧戦意喪失状態。いくらなんでも5mでピッチを切ったら顰蹙かなぁと思いつつ、「スミマセ~ン、ココで切っていいですかぁ?」とてつもない意気地なしである。こんな美しい壁を見て「リードしたい」と思わないなんて、とてもじゃないが「クライマー」には分類できそうにもないヤツである。

 苦笑いしながら登ってきたMさん、「うーん、まるでヨセミテみたい~」と楽しそうに登って行ってしまった。ううう。上からビレーされていたのに、3歩のノーハンドスメアがコワかったぞー。フェニックス、すまんっ!!と、性能はいいのに持ち主がヘボいために能力を発揮する機会に恵まれない気の毒な我がクツに謝る。

Dscf0049 最後のパートはほとんどロープ不要と思われる草付きの階段状であったが、とりあえずロープを引きずってピークまで登る。さんざん待ちくたびれたUさんがピークの岩の上で居眠りしながら待っていてくれた。登攀終了・・・。

 うーん・・・。ほとんどA0しかしなかったなぁ。ヤバそなパートは全部譲ってしまったなぁ。そーとー情けないクライミングではあったが・・・でも楽しかったなぁ。ま、いっか。

Dscf0075 ちなみに、夜はかなり冷え込んだけれど、月はきれいに見えていた。宵の口、赤くて気味の悪いデカイ月だったが、深夜にはきれいに澄んだ銀色の月になっていた。翌朝もまだ西の空に美しくかかっており、やはり2900mと高い場所で見るせいか、クリアできれいな月だった。いい仲秋を過ごせた。

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