さりげなさの中にある美
珍しいもの、高価なものを珍重するのではなく、ありきたりなもの、さりげないものの中に、美を見出す。茶の湯の精神にはそういうところがある。
誰もが頭上の桜の咲き加減ばかりを見上げている今、足元では・・・アスファルトの隙間から生え出てきたホトケノザが、こっそりと見頃だったりする。
千利休に関する逸話の中から、出典の明らかなものを選んでまとめた本
「新版 利休百話」淡交社 発行 筒井紘一 著 を読んだ。
知識がないために理解できない奥の深いエピソードが多く、勉強不足を実感させられるが、私のような初心者でもなるほどと思えるものもいくつかはある。
第87話「茶の点て様」
茶を点てるうえに大切な、いくつかの心得がある。様子点て(席中の様子をうかがいながら点てる)、味点て(味わい深げに見えるように点てる)、ねらい点て(ここぞという見せ場のねらいを定めて点てる)、力み点(力んで点てる)、自慢点て(道具や力量を自慢しながら点てる)、しゃんしゃん点て(味けなくどんどんと点前を進める)、強し点て(肩をいからせながら武ばって点てる)などのほか、ともかく目立った点て方はすべてよくない。・・・(略)・・・ (貞要集)
第88話「利休と織部の点前」
針屋宗真は長命で、いつも「利休と古田織部の点前は格別の趣がある。織部の点前はまことに立派で、今も目に焼きついて忘れることができない。それに対して利休の点前は、少しも目立つところがなく、初めから終わるまで見留めることができない。すらりすらりとしている。まことに凡愚を離れたことである」と話していたという。(噺覚集)
余計な力の入らない“自然体”が最上ということか。
クライミングでも、巧いクライマーは無駄なパワーを使わない合理的なムーヴで登るが、ヘボは無駄に力を使ってしまうもんなぁ。わかっちゃいるけど・・・
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コメント
初めまして
利休はすられすらりですか。
利休で記事を入れてみましたのでTBさせていただきました。
よろしくお願い申しあげます。
投稿: 湖南 | 2006年4月 4日 (火) 20:43