街角のエコロジー
前書きで、
『街角での自然との新しい出会いのために、ちょっとしたきっかけを提供したい』『私たちの生活の場、庭の片隅、駅への小道にも多くの生き物たちが生活を展開し、自然の営みがある。春夏秋冬それぞれの季節に命の輝きをみせてくれるはずである。・・・略・・・心を開けば、自然はどこにでもある』などとあったので、てっきり卑近な事象を取り上げた“お気軽エコロジー”本かと思いきや、読了する頃には全く異なるメッセージを受け取っていた。いい意味で、期待を裏切る一冊。
「街角のエコロジー ~見えない自然のはたらきを見る」
三島次郎 著 玉川大学出版部 発行 2002.9.15第1刷
地球創生の頃、地表面をおおっていたのは「原始大気」と呼ばれる気体で、多量の二酸化炭素が含まれ、そして遊離した酸素は存在しなかったと言われている。
35億年ほど前に、原始の海の中で太陽光を使って豊富にあった二酸化炭素と水から炭水化物を作る(=光合成)を行うシアノバクテリアと呼ばれりる画期的な生物が誕生した。これらは“二酸化炭素”という“資源”を消費し、“酸素”という“ゴミ”を放出して生きていた。やがて、現在の植物と同じような光合成を行う高等な植物もあらわれ、どんどんと二酸化炭素を消費した結果、大気中の二酸化炭素はわずか0.03%まで減少し、酸素は20%にまで増えた。消費された二酸化炭素がどうなったかと言うと、大量の「化石燃料」、つまり石油や石炭として地中で埋もれていった。
この状態が、現在の地球上生物にとっての「好適な環境」を維持している。
ところが、19世紀以降、化石燃料を大量に消費しはじめた・・・つまり、気の遠くなるほどの年月をかけて植物達が地中に封じ込めて、代わりに酸素を作ってきた働きを、超高速で元に戻そうとしているわけだ。このまま化石燃料を燃やし続けるとどうなるか?火を見るよりも明らか・・・
それにしてもいろいろと考えさせられる一冊だった。
| 固定リンク
コメント