「白きたおやかな峰」
ヒマラヤ山脈ディラン峰にいどむ遠征隊を描いた登山小説。
作者の分身である、変わり者の医師・ドクター柴崎、そしてそれぞれに個性的な隊員たちの、キャラバンから頂上アタックにいたる日々。
“どくとるマンボウ”はかつて読んだことがあっても、純文学作家北杜夫さんの作品にはあまり縁がなかった。
本作、軽妙なタッチながらやはり40年も前の作品であるので、言葉遣いがとてもクラシカルに感じられる。しかしながら、本質的なことはきっとそんなに変わっていないんだろう・・・
『 結局、登山家とは何なのか。彼らを区別するものは何なのか。単に彼らが山が好きであり、山に登りたがる人種であることだ。その中にはあらゆる層の他の人間と同様、一人々々毛色の変わった無数の男と女がいるだけだ。
ところで、山とは何なのか。単なる地殻の出っぱりにすぎぬ。とはいえ、それはやはりわるくないものだ。』
「白きたおやかな峰」 北 杜夫 著
新潮社 昭和41年11月 刊
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