ハチドリのひとしずく
南アメリカの先住民に伝わるお話。森が燃えていました
森の生きものたちは
われ先にと
逃げて
いきました
でもクリキンディという名の
ハチドリだけは
いったりきたり
くちばしで水のしずくを一滴ずつ運んでは
火の上に落としていきます
動物たちがそれを見て
「そんなことをして
いったい何になるんだ」
といって笑います
クリキンディは
こう答えました
「私は、私にできることをしているだけ」
この話をアンデスの先住民族の友人から聞いた文化人類学者の辻信一さんは強く胸を打たれて、多くの人に伝えるために絵本を作ろうと考えた。絵を担当することになったカナダの先住民族である友人に英訳したものを渡したが、その中に「普段大威張りの大きな動物たちが・・ハチドリを馬鹿にして・・」という表現があった。
その友人は、「これではハチドリが正義で、他の動物は悪だという話になってしまう。元々の話はそのような善悪の区別はなかったのではないか」と指摘した。また、「怒りや憎しみに身をまかせたり、他人を批判している暇があったら、自分ができることを淡々とやっていこうよ、クリキンディはそう言っているような気がする」とも。
数年前のことだが、ある自然保護を活動の主目的に挙げて発足しようとしていたグループのミーティングで、最近コンビニでもMyBagを、という話を述べたら、「そんなこと普通の人にはできない」って言われてショックを受けたことがある。
自然観察会とか、楽しいプログラムには興味があるけれど生活上の面倒くさいことはしたくなくて、でも「自然保護してます」!って言いたい人たち?に絶望を感じて、結局そのグループから去った。でもねぇ、最近ではコンビニでも「袋はお入用ですか?」って聞くようになってるっしょ。ちょっと早かっただけやんか。
・・って別に憤らなくていいんだね。淡々と自分にできることをしていればそれでいい・・・
この本の第4章には、こんなにも熱くなっちゃった地球に“無理なくできそうな一滴の落とし方”が書かれている。現在日本では、一日平均一人当たり7000gのCo2を排出しているとか。
100gのCo2を減らすためにできることをこの本では“1ポトリ”と呼ぼうと提唱している・・。
・5分間のアイドリングストップ・・1.1ポトリ
・3kmの移動にタクシーをやめて地下鉄に乗る・・12ポトリ
・往復4kmの移動を車に乗らずに歩く・・7.7ポトリ
・レジ袋を断る・・0.9ポトリ
・ペットボトルの使い捨てを1本やめる・・1.4ポトリ
・冷蔵庫の詰め込みすぎをやめる・・0.7ポトリ
・ジャーの保温をやめる・・0.8ポトリ
・・・・ポトリ、ポトリ、ポトリ。
『地球温暖化を防いでよりよい世界をつくるためには、
楽しいことをいろいろがまんしたり、
たくさんのつらいことをしなければならないと
思っていた人も多いはず。
しかし、これまでの「もっともっと」という
足し算ばかりの暮らし方をやめて、
ポトリ、ポトリと引き算を始めてみる。
すると実は、環境にいい暮らしが、より楽しく、美しく、
安らかで、「おいしい」ことがわかる。』
『ハチドリのひとしずく -いま、私にできること』
2005年11月30日 初版1刷発行
監修 辻 信一
発行 光文社
ペットボトルのソフトドリンクより、好きなお茶をテルモスに入れていくほうがずっとカラダにも環境にもやさしいよ・・・。
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