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「静かな黄昏の国」

自然環境はもはや破壊されつくし、ゆっくり滅亡への道を辿る近未来の日本で、「本物のPhoto_158 森で暮らしませんか」という誘い文句に乗った老夫婦を待ち受けていたものは・・(表題作。ネタバレだからこれ以上書かない)。
淡々と進行する物語ばかりだが、「実際あり得るハナシかも・・」と、背筋がぞわわーっとなる恐ろしい短編集。ホラーと呼ぶにはリアルな世界だ。

満たされた食事、安全で清潔な住環境、そして詩や音楽など美しいものを鑑賞し、何不自由なく育てられている『神の子』。
「考えることはいけません。信じ、従うことです。考えることは、自分の小さく愚かな知識に捕らえられることです。あなたが従わなければならないのは、神という大きな知恵なのです」・・・シスターが“神の子”に語るこの言葉。

もちろん虚構の櫛田ワールドのセリフだけれど、こういう言葉は、実は世の中のあちこちで囁かれているような気がする。考えることを、知ろうとすることをやめることは・・限りなく楽で、そして限りなく恐ろしいことだろうと思う。極にゃみ的には、卑小でも愚かでも自分の目でモノを見、自分の頭でモノを考えたい・・

『静かな黄昏の国』
 篠田節子 著
 角川書店 発行
 2002年10月 刊

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