『食品の裏側 -みんな大好きな食品添加物』
食品添加物商社のトップセールスマンだった著者が、娘さんの3歳の誕生日に、仕事をやりくりして帰宅したら・・テーブルには子どもたちが大喜びするごちそうがズラリ。子どもたちが美味しそうに食べているミートボールをふと口にした著者は・・「これは食べてはいかん!」と叫んで皿を取り上げた・・
そのミートボールは、スーパーの特売用商品として食品会社に依頼されて自分が開発した商品。普通なら廃棄するか、ペットフードに加工するしかないようなドロドロのクズ肉に、大量の添加物をジャバジャバ入れて商品に仕立て上げたもの。
廃棄物並みのものが活用できるんだから環境に優しいし、一円でも安いものを買いたい主婦にとっては自分は救いの神のようなもの。使っている添加物は国が認可したものばかりだし、何も悪いことはしていない。食品業界の発展にも寄与して、むしろ世の中に貢献している・・
誇りを持って仕事をしてきた著者だが、自分が開発した商品は、愛する子どもには食べて欲しくないものだということに気づいてしまった・・
自分がやってきたことは「死の商人」となんら変わらないのではないか。このままでは畳の上では死ねない-そう思った著者は、翌日会社をやめた・・・。
「食品の裏側」をここまで赤裸々に書いた本はこれまでなかったそうである。先日発覚した食肉業界のトンデモ事件なんて、むしろ普通に行われていることらしい。
安さ、便利さの代わりに、私たちは何かを失っている。それは、目には見えないけれど、おそらくとても恐ろしいこと・・そんなことを考えさせてくれる一冊。
もはや“再生産”とは無縁の私は、ここ何年も個人的には変異原性があろうが催奇性があろうが、べつにどうでもいいか~、なんて思ってたけど、個人がどうのこうのと、そういうレベルの問題ではない。“自然”からスポイルされ、人工的な環境で飼育されている家畜のような我々はもはやまっとうな生き物とは言えないのかもしれない。
そんな中で山菜やらイワナやらを求めて山野を彷徨するよな人種なんて、もはや絶滅危惧種・・・
『食品の裏側 -みんな大好きな食品添加物』
東洋経済新報社 刊
阿部 司 著
2005年11月第1刷 2006年3月第11刷 発行
※本書を批判するサイトも併せて紹介
★香具師か、食品添加物のゲッベルスか『安部司著「食品の裏側―みんな大好きな食品添加物」を批判する』(うさぎさんの小屋) …ココ!
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