恋しけば 袖も振らむを・・
地味な花だが、よく見ると清楚で美しい。コウヤボウキでもないしなんだろう・・と思いつつ、調べてみたら“オケラ”だった。
信州の里謡で「山でうまいはオケラとトトキ。里でうまいはウリ、ナスビ。嫁に食わすも惜しゅうござる」と謳われるように、オケラの若芽は山菜として名高い。また、根は生薬としても用いられ、元旦に飲む「屠蘇」を作る「屠蘇散」の主薬だ。京都の八坂神社で大晦日に行われる「朮参り(おけらまいり)」も、このオケラの根を焚くと邪気を払い疫病を除くとされる薬効?によるものらしい。ハデな自己主張はしないけど目立たぬ実力派、ってところか?
地味で人目に立たないことから、秘めた想いや人目を忍ぶ恋の比喩として万葉時代から歌に詠まれてきたそうである(当時は“うけら”)。
恋しけば 袖も振らむを武蔵野の うけらが花の 色に出なゆめ
コクらなくてもいい自己完結な想いってのもあるよな。
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