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『悪女の美食術』

雑誌「FRaU」の連載を元にまとめた、美食家で知られる辛口評論家のエッセイ。
0802270003読み始めは「スノッブ親父のウザい薀蓄本か?」と思ったのだが、ここまで世界が違うと極にゃみ的には平安王朝文学みたいなもんである。見たこともない雲の上の王宮の話を読んでるみたいでワクワクと楽しく読めた。非常に極端な論調ではあるが、“食”に対して意識的であるべし、という主張、そして“スタイル”へのこだわりにはそれなりに頷けるものがある。


『悪女の美食術』
福田和也 著
講談社 刊
2006年4月 初版第1刷 発行

極にゃみ的に面白く感じた部分をいくつか抜粋してみる。

『怯えを克服するのが勇気なのであって、はじめから平気なのは無神経にすぎません。怯えは人を洗練へと導きますが、無神経は人を不体裁と野蛮に陥らせるだけです。』
なーんて部分は、登山にも共通するかも・・

“シック”という言葉のとらえ方も面白かった。
『だいたい「シック」という言葉に相当する訳語が成立していないような気がします。つまりは「スノッブ」でもなく「エレガント」でもなく、「シック」であること。上品で、洗練されていて、でもかちかちにフォーマルではない、むしろいくばくかのユーモアを包含しているような・・・・』
んん~。単なるエレガントよりは知的で主体的で、でもスノッブのようなある種のいやらしさがなくて上品ってコト?
おおっ、我ながらいい表現。さすがプロ!(自画自賛ってのはシックではありませんな・・下品。)

そして、“快楽”というものについて。
『・・・(略) 快楽というものは、本質的に刺激的なものだからです。眠った意識や退屈なルーティーンを断ち切り、生きている実感を取り戻す喜びが快楽だとすれば、それが覚醒であれ、陶酔であれ、日常生活からの逸脱という形態をとります。それゆえに、「健康」という思想にとらわれた人から見ると、快楽の享受は、きわめて有害なことにしか見えないのです。』 ・・・んでメタボ?

しかし・・このタイトルはイマイチいただけない。「悪の・・」シリーズで、かつ女性誌に書かれたものだから?それとも“悪女”の方が売れそうだから?著者本人の意向ではないのかもしれないけれど・・
その感性って・・、
極にゃみ的には本書でこき下ろされている“ラーメン屋で行列をする”とか“無自覚にランチにパンを食べる”のと同じよーな恥ずかしさを覚えるんだけどな。

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