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『菜の花の沖』

今日2月12日は“菜の花忌”で、小説家・司馬遼太郎さんの忌日。
0802120003司馬遼太郎さんと言えば思い起こされるのが、兵庫が生んだ偉人、高田屋嘉兵衛を描いた長編『菜の花の沖』。

~ 淡路の島山は、ちぬの海(大阪湾)をゆったり塞ぐようにして横たわっている。
 北にむかうほど長く細く、逆に南へむかえば地がひろく、野がひろがり、水田が空の色を映している。 ~

という書き出しで始まるこの小説、冒頭で主人公出生の少し前のエピソードとして、六甲山系の急峻な地形を活かして水車産業が盛んになってきた話が紹介される。製粉や精米にも用いられたが、菜種油の搾油にも活用され、六甲山麓や淡路島でもナタネ栽培が盛んであったそうだ。淡路の貧農の家に生まれた主人公は、菜の花が咲き乱れる故郷の沖へと船を漕ぎ出し、やがて諸国屈指の廻船問屋に登りつめる。私欲を捨て、蝦夷地開拓や日露間の和平交渉に尽力するなど、大海原を股にかけて活躍した偉人の壮大な生涯を描いた、読み応えのある大作。
※写真は、淡路島の「ウェルスパーク五色 高田屋嘉兵衛公園」にある日露友好の像(高田屋嘉兵衛とゴロウニン艦長)。「ニューひょうご No.472 2007.4」より抜粋

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