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2008GW山行「剱尾根R4」

五月山行は“剱率”が高いのだが、今年は剱岳の中でもかなりスペシャル。
0805030003残雪期とは言え、初めてのクランポンでのマルチピッチ登攀で、しかも高難度で知られる「剱尾根R4」である・・
信頼している山の師匠・校長先生との山行だが、自分が勝手に何かチョンボをやらかさないとも限らないし、出発が近づくほどに緊張・・。身辺整理とかしようかと思ったが、いつもと違うことをするのは縁起が悪そうなのでやめた。


0805030002が、いざ出発してみると、きっぱりキモチが切り替わってワクワク!と楽しく完璧にポジティブな気分に・・。
5月3日、うららかに晴れた馬場島を8時に出発。白萩川沿いの車道を進み、取水口からは赤谷尾根の末端を大きく高巻くトレールを登っていく。



0805030004残雪がところどころに残る斜面をゲハゲハ登る。標高差にして約160m。小尾根を乗越すと正面に小窓尾根の末端が見えてくる。ここから白萩川の河床まで80mほど下る。正面に見えている小窓尾根の右側にある雪の詰まったルンゼが池ノ谷ゴルジュ。通行できるとの情報もあるが、山岳警備隊で聞いたところ登りは小窓尾根を越えていった方がいいとのことだった。

0805030006池ノ谷ゴルジュの入り口。底雪崩の跡がブキミ・・・

白萩川は部分的に水流が出ているが、場所を選べば渡渉せずに小窓尾根の取り付きへアクセスできる。ラッキー。




0805030011雷岩から小窓尾根1600m地点まで標高差600m弱を一気に登る。残雪がある部分はいいが、雪が消えている部分は泥壁となっていて非常に登りにくい。
が、1600プラトーへ出ると眺めも最高!小窓尾根上部と剱尾根が遥か奥に見える。小休止の後、池ノ谷の河床めがけてまたもや150mの下り。一部急な雪壁も出てきて緊張する。

0805030018池ノ谷は氷河の名残の広いU字谷で、雪に埋め尽くされて歩きやすい。正面に見える剱尾根の末端を目指して、標高差約450mのだらだら登り。傾斜が緩やかなので、のんびりと休みながら詰めていった。




0805030023尾根の末端、池ノ谷の二俣は台地状になっていて、岩から滴り落ちる融雪で水も得られる絶好の幕営適地。厳冬期は危険だと思うが、この季節には安心感のある場所だ。
しかし、夜中にまるで雷鳴のような雪崩の音があちこちで何度も轟いて、ウトウトとまどろみながらも非常に気味が悪かった。


0805040028山行二日目の5月4日。4時過ぎに出発し、池ノ谷左俣を詰めていく。
朝からちょっとキツい傾斜にゲハゲハ息が上がる・・






0805040030約1時間半でR4の取り付きに着いたら、2番手。
ここから大渋滞状態になり、防寒着を着こんで足踏みするほどの長くて寒い待ちを強いられる。校長先生に分厚いダウンジャケットを貸していただいたが、それでもすごく寒くて歯の根が合わないくらい・・・




0805040036先行パーティとビレイ点をずらせた関係で入り混じりながら登っていく。
1ピッチ目はトラバースからタテに登る一歩が核心。2ピッチ目は緩んだ雪壁にドキドキしながらダブルアックス・・
3ピッチ目は凹角状の小滝を越えるが、氷がほとんど溶けてボロボロの脆壁に泣きが入る。そして・・

0805040052核心の4ピッチ目で完全に3パーティが“スタック”。先行パーティが粘った挙句敗退を決め込んでラペルで下って行ったが、その間足の踏み替えもたいへんな狭いビレイ点で何時間もじーっとしているハメに・・日があたらない場所なのでとても寒い。そして、自分がセルフビレイを取っている残置支点で重そうなヒトがラペルするのを見るのはカラダに悪い・・(もちろん校長先生がセットした支点だから、メインはリムーバブルで残置は単なるオマケだからゼンゼン大丈夫なんだけど・・)

0805040055すぐ向かい側に見える小窓尾根は日がさんさんと照っていてあったかそう・・あっちはのどかな尾根歩きの世界なんだよなー。
OYパーティはどのあたり・・(この少しあとのピッチで小窓尾根から「OY!」コールが聞こえてきて、微妙な壁に張り付きながら一人でプチ盛り上がりとなる。)


0805040053ビレイ点から少しだけ登ったところでじーっと待たされていた我らがリーダーが、先行がいなくなってようやく登攀再開できたのは実に3時間半後の13時過ぎ。20mほどロープを伸ばしたところで、
「かなり水に濡れるが、行くか?」とのお尋ね。寒いのに濡れるのはイヤだったけど、フォローのくせにビビリが入って逃げ出したってんじゃぁ、女がすたる!

0805040057きっぱり「行きます!!」と叫んだはいいけど・・・
登り始めて速攻で後悔。だって完全にシャワークライミングやん。ううう。しかもすんごくムズい。いきなりアブミを出しちゃったりなんかして・・リーダーが打ったピトンは回収できないし、どうしようもないフォロワーである。振り返れば暖かそうな小窓尾根。すきまから見えてるのは赤谷山か・・


0805040061水がザーザー流れ落ちる氷瀑パートは2ピッチほどで終ったが、その間に完全に靴も着衣もずぶぬれ。胸までの渡渉をしたレベルの濡れ方だ。中に水がたっぷりたまった靴が重い・・(ちなみにリードの校長先生はほとんど濡れなかったそうだ。とても不思議・・・)
6ピッチ目あたりから雪壁になり、Yuki姫さまがリード。颯爽と登っていかれるのがカッコイイ・・

0805040062Ⅰ峰(ドーム)ピークへ抜けたら17:30。渋滞がなければきっと昼過ぎに着いてたんだろうな・・天気も徐々に下り坂っぽくてどんよりと曇ってきたりなんかして。





0805040065北西方面に見えるのは毛勝三山。
コルBまで下って、ラペル1回。セット中に巨大落石が頭に当たるがヘルメットのお陰で無事。50mいっぱい下りて、あとはクライムダウン、ロープを回収する頃、日没。池ノ谷の下降は特に危険なところはないが、気が抜けたせいか足がもつれてまともに歩けず、二俣に戻ったら20時。食後オヤスミ3秒で眠りこけた。

08050500703日目、6時過ぎに下山開始。池ノ谷をずーっと下降し、下りなので池ノ谷ゴルジュを通過することに。
真っ黒なゴーロ状のデブリが累積し、なんとも言えない不気味な状態。かなり歩きにくいが約1時間ちょっとでゴルジュを抜け白萩川との二俣へ。小窓経由と異なり、断然早い・・・


0805050081高巻きの登り反しでへろへろになり、取水口への下りではもうまともに歩けない状態に。なんてことのないところも3点支持で慎重に慎重に下る。こんなにへろへろになったことは一度もないくらいバテバテ。思うに、前日の登攀中ほとんど水分もカロリーも摂取できず(する気にならず)、テント帰着後も朝もちょっとしか食べられなかったので、シャリバテになっていたのかも。

0805050084高巻きの下りだけで1時間近くかかってしまい、取水口に着いたら8:45。
フィジカルコンディションだけはいつも万全にコントロールできていたつもりの私だが、やっぱりいつになく緊張してたんだろうな・・そう言えば登攀中に食ったのは、Yuki姫さまが雛への給餌のごとく口に突っ込んでくれたスイーツだけだった。


0805050085白萩川沿いにはキクザキイチゲやふきのとうがたくさん咲いていた。美しい花を眺めながら登攀の成功と無事に下山できたことをしみじみ噛みしめる。
今の私の実力からすると、今回の山行はかなり大それたプランだったし、こんなハイレベルの登攀を無事に終えることができたのは、全て校長先生のお力によるものだ。

0805050087「私が・R4に・行ってきた」とはとても言えないんだけれど、私にとって今回の山行はとても特別な一歩。
ガイドツアー並みの依存度だったかもしれないけれど、私自身の経験として、とてもとても大きな刺激だったし、自分にとっては確実な前進だと感じている。何から何までお世話になった校長先生、要所要所で的確なフォローやアドバイスをしてくださったYuki姫さま、本当にありがとうございました。心より感謝しています。

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コメント

今年のR4はかなり状態が悪かった…、&、人も多かった、のですね〜。ごくろーさまでした。春山は落石の宝庫ですが、落石も怖いですね。 
とりあえず、ご無事そうなのでなにより。
それにしても、すばらしい体験をされましたね。
いよいよ、アルパインクライマーにゃみにゃみ。さんの誕生!?ですか〜(^< )V
これからも、どんどん世界が拡がっていくんじゃないでしょうか。期待してま〜ス(^^)V

投稿: SunnyK | 2008年5月 9日 (金) 10:07

SunnyKさん、九州はいかがでしたかー。また記録UP楽しみにしてますねー

今年のR4は・・って例年を知らないのでなんとも、なんですが、入山前情報では6パーティ入るってハナシで、ホントどうしようかと思いました。
結局3パーティだったんですが、それでもタイヘン・・・

朝イチはそうでもなかったと思うのですが、天気がよかったので時間が経つほどに水が流れ始めて、どんどん水量が増えていったって感じ。校長先生は巧みに水流をよけながら登られたのでほとんど濡れずに済んだみたいなんですが、私はそんな余裕はヒトカケラもなくて、水が滴ってるチムニーでバック&フットとか・・

ともかく、お陰様でとってもいい経験をさせていただきました。これを次に繋げられるようにガンバります~

投稿: にゃみにゃみ。 | 2008年5月 9日 (金) 10:51

私も例年…は知りませんが、自分のときはGW前半(4月)で、多分、GWにR4に入った最初のパーティーで、雪も氷も多く、さらに、その日は自分達二人だけで、ホントーに快適な登攀でした。

九州…クライミングはヘぼへぼでしたが、毎晩、美味しいものを食べて、呑んで、大宴会でした。庵の人達、最高!!のおっさんおばさん達ばかり。
年とったらあそこに住みたい……(^^;) 

にゃみにゃみ。さんも、是非、行ってみて下さい!!

投稿: SunnyK | 2008年5月 9日 (金) 13:24

氷がばっちりついてたら楽しそうですね。
蓬莱峡の砂壁と違って、ちょっとユルい氷はヘボのアックスもやさしく受け止めてくれたので、わずかな氷瀑のパートは楽しかったです・・

九州の“庵”で宴会ですかぁ~、
楽しそうです~

投稿: にゃみにゃみ。 | 2008年5月 9日 (金) 13:48

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