『農に聞け!二十一世紀 地肌に息吹く自立の精神 』
井上ひさしさん、山下惣一さんなど、さまざまな立場で農に携わる7人が、これからのあるべき農の形を提言する一冊。一貫して述べられているのは、大地に根ざした“自立”が重要であるということ。自分たちが食べるものは自分たちで作り、守っていくという姿勢が不可欠ってコトだなー。
極にゃみ的超偏った要約・・
・ボローニャ方式/
イタリアの自治都市ボローニャが豊かであるのは「地域の問題は地域の人々が考え、解決すべきである」という“自立精神”が基本にあるから。第二次大戦後、アメリカからの復興支援資金を拒否し、その代わり中央政府からの口出しもシャットアウトして自治を貫いたという。
食糧援助と引き換えに、伝統的食文化をアッサリ売り渡しアメリカの思うツボにハマった日本の戦後復興と正反対やなー・・
・WTOと新農業基本法/
WTO(世界貿易機関)の枠組みに日本の農政を合わせるために改正されたのが1999年制定の新農業基本法。「自由貿易至上主義」を基本姿勢とするWTOは日本の農業生産拡大を抑制するため、輸入の自由化と関税の引き下げを要求し、さらには国内農業保護の予算削減、輸出補助金を削減させた。
それって、食料の大量輸入国である日本にとっては食の安全性や安定供給が脅かされることに直結する問題やないのん?
また、WHO(世界保健機構)とFAO(食糧農業機構)の合同委員会であるコーデックス委員会は、一見中立の立場に見えるが、実際には全委員中3割が多国籍食品企業や農業関連産業出身者で、「より甘い規格」を押し付け、過去の食品公害に学んで厳しい基準を設けてきた日本でありながら、コーデックス規格に準じて安全性基準が大きく引き下げられている。
・さらに、新農業基本法では、農業の「多面的機能の発揮」や「持続的発展」「自然循環機能の維持推進」を大義名分に謳いながら、国境措置撤廃下で市場原理を導入することにより結果的に耕作地放棄の増大や農村が衰退している。
・自国で農業生産が行えるにも関わらず「経済大国」日本がそれを行わずに、金にあかせて大量の農産物を輸入することは、農産物の国際価格高騰につながり、食糧不足で苦しむ国の輸入を困難にするという、まさに“犯罪的行為”である。
・したがって、日本が農業生産を増大することは、自国民のためだけではなく国際貢献にもつながる。
ってーか、ムリヤリ田んぼを放棄させて主食のコメを輸入するってなんかおかしくないか?生産コストがどうであれ、石油資源を燃やして海の向こうから運んで来るっていうのもいかがなものかと・・
うーん・・なんとも脈絡のない要約になってしまった。
が、いろんな切り口で今の「農」の問題が読める盛りだくさんで読み応えのある一冊だった。ムリヤリひと言でまとめると、日本の伝統的な「小規模複合経営」的な農業のスタイルがやはり日本にはマッチしていて、アメリカ的な大規模集約的農業は合理的ではないってことかなー。
『農に聞け!二十一世紀 地肌に息吹く自立の精神 』
石川武男 編
井上ひさし ほか7名 著
家の光協会 刊
2001年12月 発行
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