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「神戸とお好み焼き」

お好み焼きと言えば大阪の庶民の味、ってなイメージがあるが、Photo_2実は神戸の下町にも伝統的な粉モン文化が息づいている。
50代以上の人(刊行時・昭和20年代生まれ?)が「にくてん」と称する神戸スタイルのお好み焼き・・クレープ状の生地に具を乗せて焼き上げるタイプで、“地ソース”に強いこだわりがある・・といった、神戸における粉モン文化のルーツや変遷を比較都市論の視点で追求した興味深い一冊。

そもそも「洋食焼き(大阪)」「にくてん(神戸)」「どんどん焼き(東京)」などの名称で人気を呼んだ“お好み焼きのルーツのような食べ物”は、コバラが空いたときとか、子どもがおやつに買い食いするような安価な軽食であったが、大阪ではどんどん大型化して具材もゴージャスになり、「メインの食事」メニューに昇格した。ところが、神戸では下町の町屋でおばちゃんが焼いてくれるような気楽なスタイルがそのまま継承された・・そうである。
ちなみに大阪のお好み焼きはデフォルトで卵が入っているが、神戸では卵はあくまでオプション、マヨネーズも邪道で、味のこだわりは“地”ソース、であるらしい。

その神戸のお好み焼きを支える地ソースというのは、「ばらソース」「プリンセスソース」など現在8社があり、地元を中心に根強い人気がある。そもそも日本のソース製造史は神戸で始まり、英国留学帰りの医師が明治29年に開業した「安井舎密工業」で日本初のソースが作られたとか。舎密(せいみ)というのは「化学」のことで、ハイカラでモダンな新しい調味料は当初、滋養強壮・健康食品として薬局で売られていたそうである。

ところで「にくてん」という名称はどこからきているのか?「てん」は天ぷらのテンで、粉をからめて油で焼くからという説、肉を一番上に載せる、つまり「肉の天井」説、はたまた「てん」=「転」で、コテでひっくり返すから・・など諸説があるとか。
一応神戸っ子の極にゃみ的には、50歳以下のワカモノだから知らないだけ?なのかもしんないけど、「にくてん」って聞いたことがなかったし、近年メジャーな人気となってる「ぼっかけ」「そばめし」ってのも「にくてん」文化の中心地である兵庫区・長田区あたりに固有のものではないか?って気がするんだけどなー・・あ、ちなみに私は須磨生まれの東灘育ちです。

『神戸とお好み焼き -まちづくりと比較都市論の視点から』
三宅正弘 著
神戸新聞総合出版センター 刊
2002年12月 初版発行

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