安ければ、それでいいのか!?
“農民作家”として知られ、現代日本の食と農の問題点を鋭く指摘し続けている山下惣一さんを編者に、4人のジャーナリストが破格値のハンバーガーや牛丼などが提供される仕組み、そしてそれらが孕んでいる問題点を解き明かす。価格破壊のからくり、そしてグローバリゼーションと自由貿易という一見真っ当な経済の動きが、日本の食糧事情を追い詰めている実態をわかりやすく説明している。
農業は「自然」が相手であり、工業製品と同列に扱うべきではない。環境保全機能、そして何より自国民を守るという観点から農政を考えるべきであること。安いものには安いだけの理由があり、それをわかった上でそれでも選択するのかを消費者は考えるべきではないのか。
文中で引用されている一言に
「便利なものには代償がある」という下りがあるが、言い換えれば
「安価なものには代償がある」でもある。
長い年月をかけてブラッシュアップされてきた風土に固有の食文化は合理的で健康的で自然だ。それに対して農を大きく海外に依存し、工業に特化している日本の現状はあまりに不自然だ。安さのために安易に購入しているモノが、実は海外の環境にダメージを与え、農業を脅かし、ひいては自国の農業をも衰退に追いやっているという現実を知るための解りやすい道案内となる一冊。
『安ければ、それでいいのか!?』
山下惣一 編・著
コモンズ 刊 2001年11月初版発行
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