山登りのモチベーション
またまた『サバイバル!』から引用なんだけど・・
著者の服部文祥氏はこのように述べている。
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いったい何が楽しくて山登りをやっているんですか? とよく聞かれる。これはかなり、困った質問だ。人間の行動原理の中心に「快楽」があると思っている人に登山の魅力を伝えるのは難しい。
サッカーや野球を本気でやっている人に「何が楽しくてやっているんですか」と聞く人はあまりいない。 ・・・中略・・・
さらに普通のスポーツには「相手に勝つ」という、これもまたほとんどの人が疑うことなく求めている絶対的な目標がある。 ・・・中略・・・
だが世の中には、そのようなわかりやすい損得勘定では、説明できない喜びというものも存在する。
その一つが登山だと、私は思っている。正直なところ、登山は野心である。娯楽や癒しではない。あそこ登ったらすごいんじゃないか、という幼稚な野望が出発点だ。そこには、ただ登ってみたいという無邪気なあこがれと、俺ってすごいかもしれないという邪気まみれの自己表現が混じり合っている。
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これが、先日ちょこっと触れた「248p」の部分である。
「登山は野心である。娯楽や癒しではない。」というくだり・・たまに、ある種の山屋さんたち(例えば私の師のような・・)とハナシが噛み合わないなぁと思うことがあるのだが、その原因はたぶんこのようなことだ。
私にとって、登山は野心の対象では全くないし、おそらく、敢えて近い言葉で表現すると“娯楽や癒し”というのに近い。
登山という行為が自己主張なのかどうかはわからないが、少なくとも“俺ってすごいかもしれない”とは感じることができない。ま、へぼだからな。しゃーないか・・
“ファンクライマー”って言われたこともあるしな。
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コメント
服部氏の、「野望・俺って凄い」も良いですが、小生にはそれは殆ど無しです。日ごろ貴台の言うファンクライムに時間を費やして、ちょっぴりオリジナルを試し、そのあげく年に1度か数年に1度、脆壁などの開拓に行きます。対象は見捨てられているか、否定されている所です。悪くて誰も手が付けられない所は興味ありますね。一か八かの賭けではなく、方法論上で勝算がある場合です。ずるをしないのが小生の生き方です。その点服部氏とは共感できますし、人間性を救う最後の手段はウイルダネスに人を遣ることとの考えが欧米で一般化しつつあるようですが、これにも共感します。それにしても、堀江健一が初めて太平洋を1人乗りヨットで渡ったときは、先にやられたと思いましたね。
投稿: 山頂 | 2008年11月28日 (金) 22:17
にゃみさん、こんばんは~(^-^)/
私も、「あそこ登ったらおもしろそ~楽しそ~」が基本で、やっぱり娯楽で遊びかなぁ。それもかなり充実感のある(^O^)/
山につきものの、宴会お祭りも大好き(^_^;)あんまり飲まないのに、付き合いええなぁとよく言われるけど、多分飲んでる人より場に酔ってるのだ(^o^;)安上がりです。
投稿: なつ | 2008年11月28日 (金) 22:57
山登り暦 半年の銀杏です。山登りは素人ですが、かなりはまってしまいました。
なんか難しい事は判らないんですが、僕は山登りしてる時間は『生きてる自分』を取り戻せる感じがして、すごい幸せなんです。
自分にストイックに苦痛に耐えて征服感や達成感を味わうとか野心がどうのと言うよりも、登っている時間がずっと続けば良いのにって思ってしまいます。
そんなんもアリじゃないですか?
「無し!」とか「山を舐めんな!」とか言われたらヘコみますけど・・・(((^^;)
投稿: 銀杏 | 2008年11月29日 (土) 00:22
山頂センセ、なっちゃん、銀杏さん、コメントありがとうございます。
山頂センセの
>悪くて誰も手が付けられない所は興味ありますね。
っていうのは、服部氏の言うところの「野心」に近いと思うんですけど・・
>一か八かの賭けではなく、方法論上で勝算がある場合です。
これは日頃から拝見していてよーくわかります。
なっちゃん、
>、「あそこ登ったらおもしろそ~楽しそ~」が基本で、やっぱり娯楽で遊びかなぁ。
すっごい楽しんで登ってるのがとってもよくわかります~
でも、決してお気楽レジャーモードではなくて、リスク回避もきちんと認識してることもねー。
銀杏さん、
>僕は山登りしてる時間は『生きてる自分』を取り戻せる感じがして、すごい幸せなんです。
「仕事が人生の100%」みたいな環境にいて、あなたが↑のように思えるようになったってことが私にはとっても驚きだった。なんか人生取り戻したねって感じ・・・
私は山ん中でうろうろしてること、そのものが好きかなー。
ハイキングも、尾根歩きも沢登りも好き。焚き火宴会も観察会も野点山行も好き。
今はちょっとタテに登るのに集中してみようと思ってるけどね。
そうそう、銀杏さんは決して山を舐めてはいないと思います。案外慎重派でしょ?
投稿: にゃみにゃみ。 | 2008年11月29日 (土) 06:12
にゃみにゃみさん、くどくどとすみませんが、野心というのは結果で地位、名声を得る;儲ける;などの動機があるものでは。研究業務で長年飯を食っていますが、面白さは新事実の発見にあります。小生の登山行為の中には登りそのものが面白いのと、新ルート発見の面白さ、不可能と思われるところを登る面白さなどがあります。未発表の初登攀は例えば清水谷ヌナタック峰登攀(初登頂)他多数ありますので、野心が強ければ何とかして発表するでしょう。
投稿: 山頂 | 2008年11月30日 (日) 10:31
山頂先生、こんにちは。
>登りそのものが面白いのと、新ルート発見の面白さ、不可能と思われるところを登る面白さなどがあります。
なるほど~。ピュアに面白さを楽しんでおられるってところですね。
>未発表の初登攀は例えば清水谷ヌナタック峰登攀(初登頂)他多数ありますので、野心が強ければ何とかして発表するでしょう。
発表するしないはさておき、記録については発表もできるかたちにしてまとめておいた方がいいかもですねー。人知れず朽ちていくのはもったいなさすぎると思うので・・
投稿: にゃみにゃみ。 | 2008年11月30日 (日) 18:13