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マツバラン

マツバラン科マツバラン属の常緑多年草で、0812140007_2茎だけで構成された「根も葉もない」特異な植物。地下茎には菌類が共生しており、菌根のような状態で栄養を得ている。岩や樹上などに生える着生植物だが、このユニークな姿のせいで江戸時代から園芸植物としてコレクターの間で珍重されてきた。自生地が激減しているため、レッドデータブック(環境省絶滅危惧II類)に指定されている。

ところでこの植物は、非常に古い歴史を持つ。今から35億年前、地球上に初めて生物が発生した頃、紫外線が強すぎて生物は海中でしか生息できなかった。その後30億年くらいその状態が続いたが、海藻類がつくる酸素が元になって徐々にオゾン層が形成され、5億年くらい前には地上でも生物が生きられる環境になってきた。シルル紀に最初の生物が地上に進出したと推測されているが、それが何なのかはまだ判明していない。コケ類かシダ類のいずれかと言われているが、今のところどちらが先なのかを示す証拠は見つかっていないそうだ。
しかし、発見されている陸上植物の最も古い化石は古生マツバランで、それが退行的に進化してコケ類が発生したのではないかという説もある。現在のマツバランはその頃とほとんど変わっておらず、言わば植物版シーラカンスのようなものらしい。
そんな古くから生き延びてきたマツバラン。繁殖力が弱いわけではないようだが、乱獲などで絶滅することのないようにしたいものだ。

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