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『にぎやかな大地』

佐賀県唐津で農業を営む“農民作家”山下惣一さんの小説。0902160003直木賞の候補作となっただけあって、ストーリーそのものもとても面白いが、農政や開発などを巡る農村の実態を題材に、いろいろと示唆に富んだ作品に仕上がっている。
農業を営むということは、土地に縛られ、ムラ単位の協働体制から逃れることはできない。みんなが少しずつ小さな我慢をしながら保たれてきたムラの結束が、リゾート開発を巡ってまっぷたつに割れた!
新聞記者やら、環境保護論をふりかざす都市住民やら、政治家やら、フィリピーナやら祈祷師やら・・いろんな人々が関わりながら、巧みにストーリーが展開していく。軽妙かつユーモラスなタッチで、重たい問題をサラリとつきつける、スゴい作品だ。


『にぎやかな大地』
山下惣一 著
講談社 刊 1992年11月 初版発行
初出/『明日の山河』日本農業新聞

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