『食堂かたつむり』
「かもめ食堂」とふと勘違いして手にとっちゃったんだけど・・。よく計算された今風のネタがちりばめられ、コンパクトなアミューズメントパークのように楽しめる作品だ。
将来飲食店を開くことを夢見ながら睦まじく暮らしていたインド人の恋人が、ある日突然タンス預金の開業資金&大事にしていた調理器具ほか家財道具一切合財と共に消えた。後に残ったのはガスメーターの脇に置いていた祖母譲りのぬか床の壷がひとつだけ・・。
その壷を抱えて、なけなしのお金をはたいて夜行バスで故郷へ向かう主人公は、声を失っていた・・・
15歳のときに実家を飛び出して以来の“おかん”に借りた離れを改装し、素朴だけどこだわりぬいた内装の「食堂かたつむり」を開業。一日一客に限定し、事前にカウンセリングをした客のみに精魂傾けた料理を出す・・という「まるでお伽噺」のようなストーリーだ。ココロが疲れているときなんかにはもってこいの癒し系の物語。イマドキのオサレなカフェで、彩りの美しいワンプレートランチを食ったような読後感だった。
『食堂かたつむり』
小川糸 著
ポプラ社 刊
2008年1月 初版第1刷発行(半年後には18刷!恐るべし!!)
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