『仮想儀礼』
「信者が30人いれば食っていける。500人いればベンツに乗れる」 のが新興宗教だとか。宗教モノでもすごい作品をいくつも書いておられる篠田節子さんによる、かなりコワい小説。
作家になることを夢見ていた男が、騙された挙句に地位も家庭も全て失う。ホームレス同様に落ちぶれた“騙した側”の男とふたりで“金儲けの手段”として新興宗教を始める・・というストーリーなのだが、現代社会が内包するさまざまな問題点を織り交ぜながら、“いかにもありそうな”リアルな世界が描かれている。それなりの成功をおさめる<上>から、狂気に満ちた<下>へ、一気に読ませる筆力はサスガ。何かを“信じたい”人って、きっと少なくないんだろうな。
『仮想儀礼』(上下)
篠田節子 著
新潮社 刊
2008年12月 初版発行(初出・小説新潮2004年4月号~2007年5月号)
最近読んだこの作者のほかの作品・・
『転生』
『斎藤家の核弾頭』
「静かな黄昏の国」
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コメント
「信者が30人いれば食っていける。500人いればいくらでも山に登れる。」
と言われたら、にゃみちゃんは新興宗教始める?
でも、、、
まず、30人集める前に餓死したりして、、、
投稿: ツボ | 2009年8月 1日 (土) 18:05
“教祖”やるには、才能と適性が必要みたいです。
実はこの本は、新興宗教やりたいヒトには便利なマニュアルかもしんない・・・
マネジメントのコツとか、陥りがちなリスクとかをリアルに書いてあって、面白いですよ。
投稿: にゃみにゃみ。 | 2009年8月 1日 (土) 18:53