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『霊峰の門』

吉野の山を支配する一言主、葛城の山を支配する役小角・・Reiho あたりの時代から始まり、一言主→韓国広足→楠木正成→明智光秀・・と時代を飛び越えながら物語が進行していく。
「他人の死を肩代わりする運命にある特殊な血筋(?)=尸者(ものまさ)」である佐提比古と、何度も転生しながら佐提比古を追い求める皐月女が主人公なのだが・・
なんだかよくわからん話の流れ方と、なんだか唐突な終わり方。
山岳小説なんかではものすごーく緻密で面白い作品世界を構築する作家さんなのになー。違うジャンルに手を出すのってやっぱり難しいものなんだろうか。

「輪廻転生を繰り返しながら奈良時代から幕末を生き、
 時代と戦乱に翻弄された男女の悲劇を描く歴史伝奇大作」というコピーがついているが、男の方は翻弄されているだけで、女の方はひたすら一人で戦ってる。で、強い。
その女主人公の描写、「一見すると幼女のようだが、物腰は大人の女を思わせた。しかも童女のあどけなさと、老女の気品が同居している」ってのは、やっぱ作者さんの趣味かなぁ(笑)。

『霊峰の門』
谷甲州 著
早川書房 刊
2009年8月初版発行

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