瀬戸内寂聴紀行文集四『巡礼みち』
寂聴さんの紀行シリーズから西国巡礼について書かれたものを読んだ。紀三井寺、粉河寺、高野山・・・河内から大和、洛中、湖国、西国街道から播磨、丹波、若狭と巡る中でのいろいろな出会いが描かれている。突然夫が失踪し、首吊り自殺してしまったという女性、守りをしていた孫が目の前でダンプに轢かれて亡くなったことから、自殺未遂の果てに、言葉を喪い心身ともに病んでしまった老人・・。
仏門にありながら現世利益など信じてもいないという著者だが、ここで描かれている様々な出会いは仏縁、あるいは観音の導きとしか思えないのである。
瀬戸内寂聴紀行文集四『巡礼みち』
瀬戸内寂聴 著
平凡社 刊
2007年 初版発行
「けふもいちにち風をあるいてきた
風の中おのれを責めつつ歩く」」 山頭火
「風の中 声はりあげて南無観世音」 山頭火
「野ざらしを心に風のしむ身かな」 芭蕉
「真実諦メ、タダヒトリ、
真実一路ノ旅ヲユク。
真実一路ノ旅ナレド、
真実鈴フリ、思ヒ出ス。」 白秋
巡礼行とは何か。
わからなくても、あるいているうちに見えてくるものがあるのかもしれない。巡礼道を歩いてみたくなった。
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コメント
>巡礼行とは何か…
>わからなくても、あるいているうちに見えてくるものがあるのかもしれない…
「…行」に出向いて…赤子に乳を飲まさずば、死に至るなり。
赤子を生かし、育てることが「人の行」なり。 目の前にある危機に真摯に向かい合うことが光明なり…
「…行」は=逃避なり。
投稿: 僭越ながら | 2010年2月 9日 (火) 16:50
行きずりなれど。
行は行。
投稿: 乞食行 | 2010年2月 9日 (火) 23:38