« 谷川岳ツアーVol.2初日・・・プロローグ。 | トップページ | 群馬DE温泉&ハイキング »

マサカマサカの夜間登攀、そしてビバーク。

谷川ツアー2010。そもそもの計画は初日に一ノ倉沢でクライミング、Dsc02192下山後はテルさんお勧めの温泉旅館で宴会、二日目は白毛門で沢登り、下山後群馬の総長宅にてそば宴会、という豪華プランだった。 ・・のだけれど。






Dsc02194南稜を登る3人と別れ、さらに奥にある3ルンゼらしき場所に着いたのが9:30。
トポを眺めながら「このへんが取り付きやろか・・」と考えていたら、横浜のチームがやってきた。二人ともワカモノだし、以前に登ったことがあるというので、先を譲った。



Dsc02198先行パーティが1ピッチ目を抜けるのを待ってオヤカタリードで取り付いたのが10:30。
にゃみにゃみ。リードの2ピッチ目はちょっと傾斜のある滝の右側のカンテ。コワいけどカムもがっちり効いて、楽しかった。




Dsc022013ピッチ目の上で先行パーティのリードがルートを間違えて懸垂支点を探していると言うので、お先に行かせてもらうことにして、にゃみリードでF1?を右壁から越えていくが、アンカーが取れないままロープがいっぱいになってしまう。
足場は悪いわ支点はとれないわ・・・カム1個でビレイする気にはなれず、ビレイヤーがいるのが川床で、少しは動けることを見越して無理やりロープを引き、ぎりぎり手が届いた残置ピトンでピッチを切った。

見落としなのか適当なところでアンカーを構築して切らないといけなかったのか、次のF2のビレイアンカーまではすぐ。ってコトは核心のF2は私がリードすか。げげっと思ったが「Ⅳやし、ま、行けるか」と男らしく受けて立つことに。

見たところ、前日の大雨のせいか、ルンゼ内は水がドードー落ちてて、とても登れるコンディションではなさそう。となると右の側壁か、と取り付いてみたものの・・立ってる上に、壁がボロボロ、たまにある残置ピトンもどうにも信用できない状態でいやーな雰囲気。
そして、ついにどうしても登れないパートが出てきて、完全行き詰まり。と言ってもどうしようもないので、ガタガタしてて抜けそうなヤバいスタンスにそーっと乗って、一段上の残置にクリップし、
「登れませ~ん」
「そんなこと言っても・・どうすんねん」
「どうにもならんのですが」
「・・・・」
Dsc02203ロープは半分以上出ていて、残置を支点にしてロワリングするのは無理。ハングドッグでいろいろ探ってみた結果、少し右にラペルアンカーらしきものを発見。その上はハングってるけど、支点があるなら行けるか?いや、私がダメでもオヤカタなら行けるかも?とそのアンカーまで登ってきてもらったけれど、やはり壁が脆過ぎてヤバい。下手に動くと追いついてきていた横浜のパーティに派手な落石をプレゼントしそうだったのでとりあえず下のパーティが登ってしまうまで待つことに。結局、下の二人が登るのを待ってF2の取り付きまでラペルして仕切りなおしとなり、ココで2時間半もタイムロス。

Dsc02204オヤカタリードで再度登り始めたのが14:30。結局正解は沢通しだったのだが、なんつーかほとんどシャワークライミングで、フォローで登りながらもぬめるわ濡れるわ・・・ゼッタイこんなピッチのリードは無理。シューズもウエアもけっこう濡れたけど、降りたら温泉が待ってるもんね。と思いつつ、心のどこかに「着衣が濡れてるような悪い状態のときに限ってビバークとかだったりね~」なんて思いがふとよぎるのをブルブルと振り払って次のピッチをリード。

Dsc02206F3の下でピッチを切ったつもり・・で、登ってきたオヤカタに
「ココで合ってますよね」って言ってみたら
「先行パーティは左のルンゼを登ってたぞ」
「え?私、ルート間違えました?す、スミマセン・・」
「しゃーないやんけ」(←諦めモード)


Dsc02212ルートを修正すべく左上しながら弱点を突いてトラバースを試みるもなかなか悪くて、結局スリングとビナ一枚残置して振り子ラッペルで突破して3ルンゼへ。ココでさらに2時間をロス。順調に登ってればもうとっくに稜線に抜けてる頃合いだ。

3ルンゼ最上部のスラブ帯はⅢが80m、Ⅰ~Ⅱが100m、のはずなのだが、やはり水量が多いのか水びたしで、傾斜は緩いもののぬめって非常に悪い。当然支点もない。つるべで4ピッチ伸ばす間についに日没。
ルンゼ最上部は上部岩壁のハング帯で、岩小屋状になっているので、ビバーク適地か?と期待しながら登ったら、そこら中から水がぼとぼとと染み出して降ってくるとんでもないところ。これ以上濡れるとあとがたいへんなので、1分でも長くいたくない。
次は私の番だが、真っ暗で岩場に阻まれたその場所からどうルートを伸ばせばいいのかさっぱりわからず、「無理です。すみません・・」とオヤカタに先行してもらう。
とっぷりと暮れた中、どうルートファインディングをするのか私にはさっぱりわからんが、オヤカタはともかく露岩帯を突破して、少し傾斜の緩い草付きまでロープを伸ばしてくれた。

Dsc02215それ以上動くのは危険と判断し、結局そこで行動打ち切り。ピトンでセルフビレイを取って、笹薮に埋もれるようにしてビバークすることになった。着られるものはすべて身に着け、マットやパックを敷いて、ビバーク体勢が整ったのが19時過ぎくらい。

肩の小屋で待っていてくれている南稜パーティとは無線がなかなか通じなかったものの、一足先に下山したテルさんと電話で連絡が取れた。
Dsc02218手持ちの食料は行動食の残りと非常食、水だけだったが、
「登り切ったらやろうと思ってたんやけどな」とオヤカタが出してくれたサプライズデザートでプチ贅沢なディナーとなった。
あまり冷え込まなかったのと雨が降らなかったのが幸いし、エマージェンシーブランケットと笹薮の保温効果で案外しのぎやすかった。

Dsc02219翌朝。夜明けと同時に行動開始するつもりが、ガスがかかっていて視界が悪い。







Dsc022255時半を回ってからどうにか出発、濡れた悪い感じの露岩と急傾斜の草付きを次々に越えていく。
←草付きがこんな傾斜ってどうよ!(泣)落ちたらゼッタイ止まらんし。

一箇所悪いスラブでロープを出したりしつつ、ようやく国境稜線に抜けたのが7:50。


Dsc02234登山道に出たところでがっちりと握手を交わし、下にいるテルさんに連絡を取り、オキの耳・トマの耳を越えて肩の小屋へ。
一般登山道、ちょー快適~。





Dsc02250昨夜南稜パーティを長らく待たせてしまったこともあって、小屋の方は我々の顔を見るなり「3ルンゼ?」と。
小屋に招き入れていただき、熱いコーヒーをご馳走になった。
ああー生き返る~。



Dsc02251小屋の管理人さんは講演でお世話になったこともある元群馬県警山岳救助隊の馬場保男さん。我々が空腹なのを見越して、でっかいお結びと温かいスープを振舞ってくださったのだが、これがもう、感動的に美味しかった。
山男ならではのお心遣いが本当にありがたく、じんわりと心に沁みた。


Dsc02257心温まる食べ物で元気は出たけど、二日まともに寝てないし、けっこう足がフラフラするので、軟弱にもひよって天神尾根からロープウェイで下ることに。
天神尾根は大行列&大賑わいで登りの人の隙をついて下るのはかなりタイヘンだったけど、とりあえず無事に下山できた。


Dsc02266が!!
オヤカタ号の中に大阪チームの沢装備が積んであったため、ちゃんと下山していたほかのメンバーも入谷できず、全員巻き添えで二日目は計画倒れ。みんな白毛門の沢登りを楽しみにしていたのに、本当に申し訳ございませんでした。

|

« 谷川岳ツアーVol.2初日・・・プロローグ。 | トップページ | 群馬DE温泉&ハイキング »

コメント

大変でしたね。
お疲れ様です
でもたまにはそんな冒険的なクライミングも良いですね!!

投稿: HIROganesh | 2010年9月21日 (火) 13:38

いやー・・・・
じつのところ、冒険的ってなものではなく、
単に私のチョンボと言うか・・・
要はルートファインディング能力に非常に問題があったってことですねー。

その結果“冒険的”な結末になってしまったのですけど・・

パーティの皆さんに多大なご迷惑をおかけしといてそんなことを言っては不謹慎ですが、じつは楽しかったのです・・・

投稿: にゃみにゃみ。 | 2010年9月21日 (火) 13:51

アクシデントの夜間登攀にビバーク…確かに「ええ〜!?」な状況ですが、こわ楽しい…てありますよね。(やめられません?!(笑))

実は、八ヶ岳PAで舞茸天ぷらののった蕎麦を食べながら、Hg君と「谷川には、舞茸天ぷら山盛りの丼を出す店があって、おやかたが大好きで…」と、お二人の噂してました。くしゃみでませんでしたか?

投稿: SunnyK | 2010年9月21日 (火) 15:12

Sunnyねーさん
アクシデントの夜間登攀・・・・と言えば思い出しますねぇ。
アレもけっこう悲惨な状況だったけど、あの時もあんまり悲壮感はなかったんですよねー。

じつは今回もそれなりに状況を楽しんではいたかも。

要は、パートナーとの信頼関係だと思うんです。

同じ状況でも、信頼できないパートナーだったら、心底恐ろしい思いをしたり、不安だったり、泣きたくなったり、パニックを起こしたりしたと思う。
でも、あの時も今回も、キモチに余裕を持っていられたのは、よきパートナーのおかげです。

ところで・・・・
そう言えばあの湯檜曽名物「舞茸丼」のお店、
なくなってました・・・

オヤカタは「これでもう、谷川へ行く値打ちが半減してしもた」と嘆いてました。
大盛りの舞茸丼定食をぺろりと平らげ、私が食べ切れなかった分まで完食してくれたあの頼もしい姿が忘れられません(って何の話や・・)

投稿: にゃみにゃみ。 | 2010年9月21日 (火) 17:41

谷川岳ですか~。一度は訪れて登ってみたい憧れの岩壁です。
今回の経験はよくあることだし、しょうがないかも。。。
初見の場合は取り付きまでが勝負ですね。にゃみさん来年ぐらいに?。。。。です。

投稿: arutu | 2010年9月21日 (火) 21:56

取り付きまでと、ツメが核心だったりしますねー。
ホントに・・・
今回もツメで泣いた~・・・

行かれるときはぜひお声おかけくださいねー。

投稿: にゃみにゃみ。 | 2010年9月21日 (火) 22:04

にゃみにゃみ。さん
>アクシデントの夜間登攀・・・・と言えば思い出しますねぇ。

私も『夜間』とか、『闇』とか言われると、にゃみにゃみ。さんとブルーライトヨコハマを思い出しますよ〜(笑)
ホントに、なんか、楽しかったですね〜。

>そう言えばあの湯檜曽名物「舞茸丼」のお店、
なくなってました・・・

あらら〜。
Hg君は、おやかたが遠い谷川に通うのはあの舞茸天丼が食べたいがためだけ!と力説してましたよ〜
それはがっかりされたでしょうね。

投稿: SunnyK | 2010年9月22日 (水) 09:11

ブルーライトヨコハマ~

アレはまさしく“アクシデント”でしたねー。
でもホント、いい経験でした。

なんだかんだ言いながらいろんな経験させてもらってます。
いい山仲間に恵まれてシアワセだなぁ。


>Hg君は、おやかたが遠い谷川に通うのはあの舞茸天丼が食べたいがためだけ!と力説してましたよ〜

まさしくその通り!です。
ご本人もそうおっしゃってました。
なので!3ルンゼリベンジはありませんっ(ってハナシじゃないか)

投稿: にゃみにゃみ。 | 2010年9月22日 (水) 09:23

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 谷川岳ツアーVol.2初日・・・プロローグ。 | トップページ | 群馬DE温泉&ハイキング »