『NHK ますます気になることば』
NHKテレビ「お元気ですか日本列島」のコーナー「ことばおじさんの気になることば」をまとめた本。「サルマタ」「パッチ」とか「おっちょこちょい」の語源とか、近年はびこりだして「その言い回しはおかしくないか?」という言葉遣いについてなど、ちょっと気になる言葉に関するあれこれを面白く解説。
『『NHK ますます気になることば 見トク知っトクナットク!』
東京書籍 刊
NHKアナウンス室 編
2009年8月 初版発行
面白かった部分をちょこっと抜粋。
たとえば・・・
「あいうえお」の“五十音”は日本語の基本だと思ってるけど、じつは46字しかなくて、母音を行、子音を列に組んだもの。
(「わ」行には旧仮名遣いの「ゐ」「ゑ」が入っていた)
ルーツとなるのは古代インドの音列表で、それは母音だけで16もあって、7000を越える文字が網羅されていたらしい。それを整理して、基本となる母音だけを抜粋して明瞭に聞こえる順に並べたものが「あいうえお」の五十音図だそう。時代を追って変遷していき、最終的に今のカタチに作り上げられたのが江戸時代前期。しかし、一般的に教育に用いられたのは「いろはにほへと」の方だったのだが、明治政府の廃仏毀釈によって、仏教的な諸行無常を感じさせる「色は匂へと散りぬるを・・」が切り捨てられ、ピンチヒッターで出てきたのが「あいうえお」だったのだとか。
それから、「くしゃみ」。元々は「鼻ひる」で、「屁をひる」と同じ、身体から気体を出す現象として表現していたそう。しかし、「息」=「生」=「命」に通じることから、不吉なこととされ、鼻をひっても早死にしないように唱えたおまじないが「くさめ(休息万命が縮まった言い方)」で、やがて「くさめ」が「鼻ひる」そのものをあらわすようになったとか。
ちなみに、くしゃみが不吉なものとされたのは昔の日本だけではなく、英語では「God bless you!」、ドイツ語では「Gesundheit!」、スペイン語では「Salud!」と言う習慣があり、いずれも「お大事に」的な意味の言葉だそうだ。
ところで・・
この本を読んでいて、誤字(誤変換?)を3箇所も見つけてしまった。改訂版が出ているのなら直されているかもだけど、
P124「一気にまとめて買った方が当たる確立は高い」は「確率」の間違いだろうし、
P240「韓国の若者の日本に対する高感度は相当高いそうです」は「好感度」、
P246[台湾では、前世帯の85%にケーブルテレビが普及し」は「全世帯」だろう。
こういう本を作るのは、「ことばおじさん」が自分で執筆してるわけじゃなくて、どっかのライターさんが依頼されてまとめてるのだろうけど、編集段階でこれだけ見落とすとねぇ。
「言葉」を扱ってる本だけに、見つけちゃったこっちはドキドキしてしまった。
我ながら性格悪いと思うけど・・
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コメント
そうなんですよね!
ヒンディー語もネパール語も、日本語と同じ50音(もっと数は多いが・・)があるんですよね。
ネパール語を勉強する様になって初めて知ったんですが、日本語のルーツだな・・って感じますね。
投稿: HIROganesh | 2010年12月21日 (火) 09:24
アジア諸国の言葉って、母音の数も子音の数も日本と違ってすごく多いですよね。
日本語ってものすごく発音的にシンプルなんだなーって思います。
ルーツはきっとインドやネパール、中国のどこかなんだろうけど、そんなこんなが複雑に入り混じったりした挙句に島国で独自に熟成(?)する間にいろいろそぎ落として今の言語になったってことでしょうかねー。
面白いですよね。
投稿: にゃみにゃみ。 | 2010年12月21日 (火) 10:05
>誤字(誤変換?)を3箇所も見つけてしまった…
出版物もそうだけど…
書評など…ウイークリーだったりデイリーだったり
紙に載せるまでめちゃくちゃ気を使っちゃう
しかしですね、他人の誤字脱字、てにをはの、へんてこりんなの見つけると…嬉しくなっちゃうのはなぜかしらん?
反して、カキコミの誤字なんか全然気にならなくなっちゃいました~
考えたことないけど、なぜかな????
投稿: はりせんリリー | 2010年12月27日 (月) 11:20
た、たしかに、出版物の誤字脱字、てにをはの間違いとかを発見しちゃうとみょーにうれしい(?)ですよね。
やっぱり“珍しい”ものを見つけたってことなのではないでしょうか。
対して、ブログサイトやらBBCなんかは、記事もコメントもけっこうみんないい加減だから、珍しくもなくて気にもならない・・・と。
投稿: にゃみにゃみ。 | 2010年12月27日 (月) 18:30