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『純愛小説』

淡々としたタッチでさらりと恐ろしい内容を語り、Photoいつも一気読みさせられてしまう篠田節子さんの作品。この『純愛小説』もまた、甘やかなイメージのタイトルとは裏腹に、ぞっとするような内容だ。数々の華やかな浮名に彩られた過去を持つ男が、40代を迎えてすっかり“品行方正”な家庭人として過ごしていたある日、突然妻から離婚を切り出され・・という表題作の『純愛小説』、若くして父を失ったため、一家の働き手として妹たちを育て、さらに母の介護に明け暮れて恋愛のひとつもしないうちに初老を迎えた女が、男に騙されて財産を全て失い、孤独死するという『鞍馬』。1人暮らしをしたいと家を出た息子にはやはりつきあっている“彼女”がいて、その娘を巡って妻と思わぬ行き違いになってしまう『知恵熱』、30代半ばで一回りも年上の女と浮気をしている夫は“病気”に違いないと妻が精神科医に相談に行くところから始まる『蜂蜜色の女神』の4作。

一般的に「恋愛」と言えば若い人がメインというイメージがあるが、人間一筋縄ではいかないものなんだな・・・と戦慄するようなストーリーばかり。

『純愛小説』
篠田節子 著
2007年5月 初版発行
角川書店 刊

いったい人間はいくつまで愛だの恋だのってものに振り回されるんだろう。大塚ひかりさんの『いつから私は「対象外の女」』 に書かれているように、いつまでも“現役”な恋愛体質の人もいるそうだけれど・・・タイトルにある「純愛」という言葉の重さが、読むほどにどんよりと心を重くする。所詮は他人、何を求めるかにもよるのだろうけれど・・・しんどいことである。

10代の頃、30歳なんてもう完全にオバサンだと思っていたけど、30歳になった頃、べつに自分で「オバサン」だとは自覚してなかった。不惑を迎える頃、いろいろあって外見が一気に老け込んだ自覚はあったけど、50を間近にした今でも内面的には「オトナじゃない」と感じることもある。悟り澄まして何事にも動じないような日なんて果たしてくるのだろうか。ま、日々つまらんことであがいているのもまたよし、ではないかと思ってもいるのだが。


★この作者のほかの作品の極にゃみ的レビュー
『転生』
『斎藤家の核弾頭』
「静かな黄昏の国」
『仮想儀礼』
『Χωρα 死都』

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コメント

にゃみにゃみ。さん、こんにちは。

>内面的には「オトナじゃない」と感じることもある。

私は還暦を過ぎた今でも「オトナじゃない」と感じる部分が多いですよ。
全然オトナなんかじゃない‥‥。

ただ、年を追う毎に「自分らしく」はなっていると感じます。
良くも悪くもですが(^^;)

投稿: 助役 | 2011年2月 8日 (火) 17:03

助役さん、こんばんは。
助役さんの場合は、いろんな責任をきっちり果たしてるオトナの男なんだけど、永遠の少年って感じ。それもやんちゃ坊主。

俗世間で言う、分別臭さにとらわれないってことだと思います。それはそれで魅力ですよね。


>ただ、年を追う毎に「自分らしく」はなっていると感じます。
>良くも悪くもですが(^^;)

それがいいですね。
私も、とらわれない自由な感じ?

山も一緒なんですけど、「ここまでは自分の力でどうにかなる。ココからはムリ」ってのがある程度はわかるようになると、自由に動けるんですよね。ちと酔っ払っててうまくいえないのですが。

投稿: にゃみにゃみ。 | 2011年2月 9日 (水) 00:37

管理人さん
時々、面白いテーマを投げかけてくる

>純愛…

純愛…純愛か~
う~ん、最近は特にその意味が
よくわかんないな~

知人に「純愛」と「性愛」を使い分けて都合よく遊んでいる奴がいたけど
でも結局、使い分けできなくて、ドツボにはまり、
ブザマな結果になる。
心に線引きは出来ないってことよ。

>人間一筋縄ではいかないものなんだな…

その人間の「心」がクセモノ…天使にも悪魔にも
変幻自在、何処にでも飛んでゆく~~~~~

投稿:  オバカッチョ | 2011年2月10日 (木) 00:54

この作品、「純愛」という言葉がものすごく意味をなしているのですよ。
ネタバレするからアレなんですけど・・・

ファッションモデルやフランス人キャリア、アルバイトの若い女の子、、、と手当たり次第に浮名を流していた頃には許していた“浮気”だけど、過去のことになっているにも関わらず、そうでないひとつのことがどうしても許せない…というような。

一過性の単なる性愛であれば許せても、というのは人によって価値観が異なるところでしょうが、わからんでもない。

けれど、
>心に線引きは出来ないってこと

ですよね。自分の心だって思い通りにはならないもの。

投稿: にゃみにゃみ。 | 2011年2月10日 (木) 07:32

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