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『辺界の輝き』

身分制度の“外”にあって山中で漂泊しながら生きたPhoto「サンカ」や海の漂泊民「家船(えぶね)」、「遊行者」などについての対談をまとめた一冊。比較文化論、社会思想史などの研究を通じて被差別民の歴史に詳しい沖浦 和光氏、『風の王国』でサンカを描いた五木 寛之氏が社会的“マージナル(辺縁)”で生きてきた人々について語っている。
大和朝廷が成立し、為政者が民衆を統治する中で、財政的基盤となる農民を「大御宝」と呼んで囲い込み、他方まつろわぬ人々を駆逐しようとする中で「良民」vs「賎民」という構造が作り上げられていく。古代の文献に出てくる畿内の「国栖(くず)」「土蜘蛛」、北の「蝦夷(えみし)」、南の「隼人」などはいずれも朝廷の支配を拒んだ先住民族であり、「正史」側の観点からすると不都合な存在。“悪く”表現されてきたのであろう。同様に、中世以降の宗教的支配や身分制度からはみだした人々を「化外の民」と定義し、差別構造が成立していったという流れがよくわかる。

しかし、被差別民が必ずしも“不幸”であったとは限らないのではないかと思う。都市にあって「穢(え)」の役割を押し付けられた存在は「良民」との比較において蔑視されるという不幸が存在しただろうが、山野を漂白していた人々から見れば、土地に縛り付けられた「良民」の方がむしろ不自由で不幸に見えたのではないだろうか。
もちろんフィクションであり、小説家の手によって構築されたロマンチシズムではあるが、『風の王国』で描かれている山の民の魅惑的なことといったら。再読したくなってきた。

★『辺界の輝き ― 日本文化の深層をゆく ―
五木 寛之, 沖浦 和光 著
岩波書店 刊
※2001年6月~10月にかけて行われた3回の対談を編纂

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コメント

>五木 寛之氏が社会的“マージナル(辺縁)”で生きてきた人々について語っている…

彼の描く人間は 臭くて、美しくて、小さくて、大きくて涙もろい。

弱くも、強くも所詮…諸行無常…

すべて流れていく現の中で、
転がりながら精一杯、日常をこなす。

地獄を見た作家の目は、
人間に厳しくて、限りなくやさしい。

彼の“人間賛歌”は揺るがない。

投稿: オバカッチョ | 2011年3月 7日 (月) 15:03

五木さんの作品、
なんか好きなんですよ。

人間臭いでしょう。
良くも悪くも。

きっと、ベースにあるものは、
許容とか、愛とか・・・ なんだろうなって思います。

投稿: にゃみにゃみ。 | 2011年3月 8日 (火) 00:30

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