『首都感染』
中国で国威をかけたサッカー・ワールドカップ開催中、南部雲南省で致死率60%のH5N1型強毒性新型インフルエンザが発生。大会終了まで発覚しないよう秘密裏に封じ込めを図る中国政府。しかし世界から集まったサポーターを介して全世界にウィルスが広まっていく…というパンデミック・パニック小説(タイミング的に、“この国ならやりかねない・・”と思ってしまった)。
日本でその情報を得た、感染症の専門家である医師が水際で国内での感染阻止を図るが、都内に患者が発生。総理の決断により、前代未聞の“東京封鎖作戦”を決行。首都機能は完全にマヒ、都内での犠牲者は増え続けるが、他府県への拡大はなんとしても防ぐ!と…
先日読んだ「TSUNAMI」もそうだが、災害にしろ疫病にしろ、災厄に見舞われたときに「どうするのがベストなのか」を冷静に判断し、行動することがいかに重要であるか、というのがこの作家のテーマなのだと思う。
『首都感染』
高嶋哲夫 著
講談社 刊
2010年12月 初版発行
・・・、
思うに、
悪い状況の中で、なげやりになったりあきらめたりせず、気が遠くなるほど長い道のりでも解決に向けて一歩一歩進んでいくしかないという意思、それは山でしばしば出会う厳しい状況とちょっと似ていると思う。
地震など、不可避の災害も恐ろしいが、目に見えないままに被害が拡大していくウィルスってホントに怖い。
しかし、目に見えないと言えば、いまはウィルスよりも大気中に、海中に、土壌に、見えないままに拡散している放射性物質。
数日間の潜伏期間で発症する病原性ウィルスと違って「ただちに健康上の影響はない」かもしれないが、数十年先のことを考えるとよりいっそう恐ろしい気がする。
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