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『レスキュー最前線長野県警察山岳遭難救助隊』

山岳遭難件数は、統計を取り始めて以来ずっと増加の一途を辿っており、「日本の屋根」とも呼ばれる日本アルプス3000m級の山岳を擁する長野県では、平均して毎年30~40名の山岳遭難死亡事故が発生している。
Photoかつては、「山は自己責任」が当たり前で、「事故を起こしたときは自分たちで対処する」のが基本だった時代があったのだが、今はそういった“本来あるべき登山のスタイル”とはかけはなれた人たちが少なくないという。そんな中、人命救助は警察官の使命であるということから、主要山岳県には山岳救助隊が組織されている。
これまでも『ピッケルを持ったお巡りさん』(富山県警察山岳警備隊)、『ザイルをかついだお巡りさん』(長野県警察本部山岳救助隊)、『山靴を履いたお巡りさん』(岐阜県警察山岳警備隊)、『空飛ぶ山岳救助隊』(故・篠原秋彦氏/東方航空)などの本が出版されていたが、本書は、ルポではなく、当事者による“手記”を集めたスタイル。新人隊員が、ベテラン隊員が、女性隊員が、家族が、それぞれ当事者の立場で語る実像。
生きるか死ぬかの現場で、警察官として人命を救助することが使命だという強い思いで命がけの働きをしている人々がいるということは、山に足を踏み入れるのであれば、知っておくべきだと思う。

『レスキュー最前線長野県警察山岳遭難救助隊』
山と渓谷社 刊
長野県警察山岳救助隊 編
2011年11月25日 初版発行


ほんの一部だけ抜粋してみる。

P114
 救助に携わっている人は、おそらく誰もが「危険な救助を減らしたい」「なるべく隊員の出動を減らしたい」と思っているはずである。救助隊員の出動を見送る家族は、なおさらのことだろう。そのためには今以上に救助の技術を高めることも必要だろうが、いちばん大切なのは遭難事故自体を減らすことだ。
 だが、そんなわれわれに思いが届いているのかどうか、遭難事故はいっこうに減ってはくれない。「救助をお願いします」ではなく「ヘリをお願いします」と言って救助を要請してくる遭難者や、(中略)

 歩けば丸二日かかる山の中であっても、今は携帯電話一本で救助を要請するだけで、まもなくヘリコプターがやってきて山麓へと運んでくれ、待ち構えていた救急車が病院へと連れて行ってくれる。そのためにどれだけの予算をかけて機体を整備しているのか、パイロットがどれほど長い時間を訓練に費やしているのか、そして隊員がどんなに危険な思いをして現場に駆けつけようとしているのか。
 登山者は、そのことを少しでも考えてもらえると嬉しい。昔の山ヤのように、なにがなんでも自分たちで解決しろとは言わない。自分たちの力で対処できないのであれば、救助を要請するのもやむを得ないだろう。
 ただ、自らの意思でリスクの高いエリアに足を踏み入れていく登山という行為は、いつの時代であっても「自己責任」が大前提のはずである。自己責任は事故を起こしたときだけのことではなく、登山をする前に自分がやるべき準備として、知識、技術、体力をきちんと身につける責任がある。登山者ひとりひとりがその意識を持つようになれば、きっと遭難事故は減っていくに違いない。(宮崎茂男/山岳遭難救助隊隊長)

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