もうひとつの紀州寿司
紀州と言えば近頃すっかりお気に入りなのが「さんま寿司」。
熊野地方(※)ではさんま寿司、めはり寿司などが伝統的郷土料理として知られているが、紀州の寿司と言えばほかにも紀北地方の「柿の葉ずし」、紀中~紀南の「さえらすし(さんま寿司)」などいろいろなバリエーションがある。大きく分けて、紀北はサバ、紀南はサンマのようである。
そんな中、和歌山の中華そばとセットで食べるイメージなのが「早すし」。
「早すし」というのは「早なれ寿司」の省略で、日本三大なれずしのひとつとして知られる有田系なれずしのバリエーション。
塩をした魚と飯を醗酵させることによって保存性を高め、酸味のある味わいになる「熟れ寿司」が寿司のルーツだが、江戸時代頃に酢が普及し、醗酵させない寿司が作られるようになる。醗酵に時間のかかる「なれずし」に対して、早く作れるから「早なれずし」というネーミングらし。
詳しくはコチラ
★紀州のお寿司 早ずし
身近にある植物の葉で巻くのが特徴で、今ではプラスチック製のものが使われることが多いようだが、元々はアセ(暖竹)、バショウ、笹の葉などが用いられていたそう。
先日、大雲取越のコースを歩いているときに、「円座石」のところに赤い実があるのを見つけて語り部さんに聞いてみたら、「ハナミョウガというもので、早なれ寿司を作るときに使う」とのお答えであった。
道端にもたくさん生えていたので、日常的に使いやすい素材なのだろう。
※ところで、ここ半年ばかり(2011年9月に来襲した台風12号以降)、再々訪れている熊野地方だが、「熊野」というのは、いったいどこのことなのか。
ずっと熊野=和歌山県だと思っていたのだが、じつは「熊野」地方というのは三重県にまたがっているエリア名なのだった。
古代には「熊野国」があり、律令制度の時代に「紀伊国」に編入されて牟婁郡(むろのこおり、むろぐん)となる。
明治以降、和歌山県の西牟婁郡・東牟婁郡と三重県の北牟婁郡・南牟婁郡の4郡に分けられ、二県にまたがる形となった。
現在の市郡では4つの牟婁郡に田辺市・新宮市・尾鷲市・熊野市を加えた4市4郡(4市10町1村)が熊野地方ということになるらしい。
【熊野・紀州地方の郷土寿司いろいろ】
★柿の葉ずし(紀北)
★さえらすし(紀中~紀南)
★なれずし(熊野系)
★なれずし(有田系)
★めはりずし
売っているものではなく、自家製の柿の葉寿司がまた、なんとも言えず美味しかった。
伝統的な郷土の味わい、大切にしたいものだと思う。
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コメント
和歌山の郷土ずし奥深い~!
早すしはそういえばとんと昔和歌山ラーメンを食べたときにいただいたような。
柿の葉ずしも大好き。でも奈良のイメージでした。
投稿: monaco | 2012年3月 6日 (火) 18:35
柿の葉寿司、商品としてばんばん売り出してるのは奈良県だけど、もともとは紀北から紀ノ川に沿って分布してたんじゃないかな。紀ノ川=吉野川だから…
ホント奥が深いよねぇ。
和歌山ラーメンと早寿司の相性もなんとも言えず絶妙だよね。あーまた食べたくなってきた。
投稿: にゃみにゃみ。 | 2012年3月 6日 (火) 18:56