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『実況・料理生物学』(阪大リーブル030)

「料理は科学実験である」という観点で、Photo解剖学、生化学、生理学の実験=料理を主体に進めるという授業を実践している大阪大学・生命機能研究科、小倉明彦教授。
カレーライス、ラーメン、ホットドッグ、お茶、焼き肉、デザートなど、みんなが大好きな料理や食材をテーマに、実際に調理をしながら行う講義をライブ風にまとめた一冊。

『実況・料理生物学』
小倉明彦 著
大阪大学出版会 刊
2011年10月 初版発行

うどんとラーメンとスパゲッティの作り方の違いとか、鶏がらスープを作るのは浸透圧の問題なので、水から煮るとか(塩を入れない)、「そうする理由」なんて考えたこともなかったことに、すべて合理的な理由があることなどが説明されていて面白い。
ソーセージやハンバーグの生地をこねるとき、水を少し入れると粘りが出るのも、浸透圧の問題。細胞の中に水が入ってふくらみ、それをもむことによって細胞膜を破壊してやると、中のDNAやたんぱく質がごちゃごちゃに絡み合って粘りが出るのだとか。(ちなみに白子はDNAの塊なので、増粘剤として使える)

雑学的な要素も盛りだくさん。
お茶菓子の「マドレーヌ」は、現在はホタテ貝の形をしているが、元々はスペイン北西部のサンチャゴ・デ・コンポステラという町の名物で、市の紋章である流れ星をかたどったものだそう。ちなみにマドレーヌという名前は、「ステラおばさんのクッキー」みたいな感じで、焼いていたおばさん(?)の名前に由来するとか…。
ちなみにマドレーヌはフランス語。語源的にはマグダラのマリアからきていて、ドイツ語ではマルレーン、英語ならマリリンなんだと。

「酔っぱらいの生理学」では、酔っぱらう原理はじつはまだ未解明だとも。
おおざっぱにいえばアルコールは麻酔剤で、神経の興奮を止める作用がある。脳内にある興奮性の神経と抑制系の神経は適切なバランスを取っているものだが、アルコールはそれを両方麻痺させるそうだ。ただ、抑制系の方がより麻酔されやすいのだが、「どうしてそうなのか」はわかっていないそう。
また、脳の報酬系に直接働きかけて快感を生む仕組みもあるらしく、麻薬や覚せい剤、たばこやコーヒーなどと同様の依存薬物となるが、アルコールの受容体はまだ見つかっていないとか。

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