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『やさいのかみさま』

野菜料理研究家として知られるカノウユミコさんによるエッセイ。Yasaino_kamisama鳥取県の農家に生まれ、小学生の頃から独学で料理を始めたという著者。最も多いときには一日20冊の料理本を読み、一日中キッチンに立ってかたっぱしから作ったそうだ。料理を始めて30年経った40歳の頃、突然「料理を自立させることができた」という。自分自身の料理の世界が確立し、自分の作りたいものを自分で作り出せるようになったということらしい。

「何かを大成すると、決まって生まれつき才能があるからという話になる。
実際は、誰でも、どんなことでも、やり続けた時間が1万時間を越(原文ママ)えた時、悟りのような瞬間が訪れるのではないだろうか。学びの領域を越(原文ママ)えて、まだ誰も歩んだことのない道を、創造の領域へ踏み出すことができる。」


1万時間、に根拠があるかどうかはさておき、“そういうことなんだろうなぁ”とは思う。そこまで集中して取り組んだことが何一つない私でも、そんな気はする。
著者の“食”に対する思いがたっぷり詰まった、よい一冊だった。挿絵として使われている猫野ぺすかさんの版画もステキ。メモ書きのようないくつかのレシピ(?)も面白い。

『やさいのかみさま     幸せになるための40のレシピ』
カノウユミコ 著
小学館 刊
2011年2月 初版発行

例によって、少々極にゃみ的引用を。

P9
人は人に出会い、魂を紡いでゆく。そして、人は大地の恵みに出会い、命を紡いでゆく。私は、私の全人生をかけて、大地の恵みに向かい合う。

P17
一般的には調理時間をできるだけ短縮することが、価値あることのように思われているが、ゆっくりと時間をかけてこそ出会える味があるし、私はその時間をいとおしくさえ感じる。待つことは苦痛でも無駄でもなく、それを楽しむことこそが贅沢な時間の使い方なのだと思う。

P20
病気を治す本当の力は、人間の中にある自然治癒力で、薬や医療はそれをサポートしているのだと思う。
(中略)
病気のかかりはじめは、薬で症状を抑えるよりも、免疫力を高め、自然治癒力を最大限に発揮させたい。

そのためには、体を休める睡眠が何より大切だ。自然治癒力は腸の働きと関わっているらしい。食事を最小限に、消化のよいものにし、お腹をあたため、腸の状態を万全にしたい

[梅醤番茶]
梅と塩だけで作った3年以上の梅干しをつぶし、古式製法で長期熟成させた醤油とショウガ汁を混ぜ、あたたかい三年番茶を注ぐ。

P28
命には限りがある。生まれたものは、必ず死ぬ。だから、子孫を残そうとする。それだけではなく、命をささげ、命をいただくことでも、命は永遠につながっている。食べるということは、とても神聖な行為なのだと思う。他の命をいただいているのだから。
(中略)
Dsc06849だから、私は、食べ物に対して、祈りと感謝をささげずにはいられない。「生かしていただいてありがとうございます」と。その生かされた命を、私は死んだものに対して恥じないように使っているのだろうかと、ふと考える。そして、たくさんの命を背負って、生きているような気になる。料理をすることは、地球の命と深く深くかかわっているのだ。

[野菜葉のピリ辛]
人参葉、大根葉、セロリの葉などを細かく刻み、天日塩少々を混ぜて水分が出たら絞って、醤油とラー油で味付けす

[かぼちゃとフルーツのベイクド寒天ケーキ]
蒸し煮にしたかぼちゃと豆乳、メープルシロップ、寒天パウダー、小麦粉、菜種油をフードプロセッサで混ぜて、ブランデー漬けのレーズン、季節のフルーツを飾って中火のオーブンで焼く。

Dsc06850[混ぜるだけでできるチョコレートケーキ]
麩を細かくくだいて、ココアパウダー、きなこ、無糖のピーナツバターまたは練りごま、みじん切りにしたレーズン&アーモンド、メープルシロップ、ブランデーを混ぜ合わせる。全体がまとまる程度に豆乳を入れて成形する。隠し味に醤油を加えるのがポイント。

[桜の花の塩漬け]
七分咲きの八重桜をやさしく洗って水気を切り、風通しのよい日陰で一日干す。
ホーローかガラスの容器で桜の重量の三割の塩を入れてラップをかけて重しをし、二日間漬ける。
軽く水気を絞って、赤梅酢をひたひたに注いで軽く重しをして1週間漬ける。
軽く水気を絞ってたっぷりと塩をまぶしつけ、保存容器に入れて冷凍庫で保存。

[夏の冷たい味噌汁]
ナスは皮が真っ黒になるまで焼いて皮をむいて適当に切り、冷やしておく。きゅうりは小口切りににして軽く塩もみし、水気をしぼっておく。
味噌にすりごまを混ぜ、冷たいだし汁を加えてのばし、なすときゅうりを入れて吸い口にみょうがを添える。

[ネパール風レンズ豆のスープ]
レンズ豆と水を鍋に入れ、柔らかくなるまで煮る。
小鍋にマスタードオイルとクミンシードを熱し、香りが立ったらターメリックパウダーを入れて、煮えた豆に加えて、塩で味を調える。

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