『赤ちゃんから始めました 親子登山 自然に親しむ子育てプラン』
先日剱岳で遭難された新井和也さんの本をご紹介したが、もう1冊。今年春に発行された、ファミリー登山の入門書。
実際に、親子で行った登山の実例の紹介、年齢別の登山計画のポイント、雪遊びやキャンプ、岩登りなどいろいろなアクティビティの紹介など盛りだくさん。
とくに役立ちそうな章として、「親子登山で注意すべきこと」。転滑落や落雷、ハチ被害などへの対処法を解説。
「子供の健康面の注意点」では、子どもはどのくらいの標高まで大丈夫なのか、歩くペースは?低体温症や熱中症について、など気になるポイントを健康運動指導士に聞くQ&A形式で。その他、親子登山で必要な装備などについても紹介している。
その他、実際に親子登山を実践している10家族へのインタビューなども興味深い。個人的にはクライマーの山岸尚将さんファミリーの海外登山やクライミングまでガンガン楽しんでいるのがスゴイなと…
『赤ちゃんから始めました 親子登山 自然に親しむ子育てプラン』
新井和也・千鶴 共著
東京新聞出版局 刊
2013年3月 初版発行
★新井和也フォトギャラリー
★KAZの活動日誌
山岸さん一家の実例から一部抜粋。
海外も含め、毎年のようにクライミングやトレッキングに家族で出かける山岸さん一家は、子どもの成長に合わせて山行を重ねてきたが、5歳くらいから娘さんもクライミングを始めた。トォラミメドウズやアラプリーズなどでマルチピッチを体験、2012年夏には剱岳八ツ峰Ⅵ峰へ。一見過激に思えるが、この山行で一家は剱岳のピークは踏んでいない。混雑する別山尾根の岩稜歩きは長時間の緊張を強いられ、子ども連れには向いていないと判断したから。ロープで確実に確保するクライミングルートの方が安全、という考え方で、確かにそれは一理あると思う。
(抜粋)
「子供ができると自分の登山ができなくなるのは、確かにそうかもしれません。でも、子供はこんなに多くの幸せをもたらしてくれる存在であることを知らずに、自分だけの趣味にこもるのは残念な気もします」
「また、父親だけが休みのたびに遊びに行ってしまう家庭も多く見ます。それぞれの家庭で納得していれば口を出すことではありませんが、自分の山行がパートナーの負担のもとに成り立っているとしたら、私はその成果に満足できないでしょう。どこかで自分がズルをしているようで、『俺はやったぞ~!登ったぞ~!』と手放しで喜べないでしょうね」
「僕は以前、難易度や自然条件の困難さを追求するクライミングに熱中していました。しかし、今では、家族で一緒に、安全に、その時にできる最高の登山をしようとしています。それは僕にとって、自分のクライミングより、はるかに真剣で、困難で、自分の限界を試される登山なのです。安全管理能力、自然状況の予測力、マネジメント力、もちろん確実なクライミング能力など、以前より幅広い能力が必要です(略)」
ほかにも、いろんなファミリーの実践例が紹介されていて興味深い。
その他、コチラもおススメです。みんなで買って応援!重版かかりますように。
『八ヶ岳・霧ヶ峰植物手帳』
新井和也 著
JTBパブリッシング 刊
2008年4月 初版発行
『高山植物の基本』
新井和也 著
枻出版社 刊
2012年6月 初版発行
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