『アルビノを生きる』
メラニンの生合成に支障をきたす遺伝子疾患で、日本では1万人から2万人にひとりの割合で生まれる先天性白皮症(アルビノ)。遺伝子そのものは50~100人にひとりの割合で持っているそうだ。メラニン色素が少ないため、髪は白か金髪、肌は白く、眼は青や薄い茶色の場合が多い。紫外線に対する抵抗力がなく、弱視を伴うことも多い。
そんなアルビノの人々を取材し、彼らがどのような人生を歩んでいるのかを詳細にレポートした一冊。
一昔前には「白子」と呼ばれ、「世間に対してみっともない」「先祖のたたり」など言われ、隠れるように生きるしかなかったという。今でも外見がほかの子供と異なることからいじめを受けたり、就職・結婚などに際して不利であることも少なくないという。髪を黒く染め、目立たないようにひっそりと生きてきた人々が、インターネットを通じてつながりあったり、当事者としてアルビノの情報を発信したりして、徐々に状況が変わってきているそう。
古来、アルビノの動物は吉祥とされて、「白鹿」「白鷹」はめでたいものとして酒の銘柄にも使われているし、白い亀が見つかったと元号を変えたり、神として扱われたりもしてきた。
少し前に観た映画『魔女と呼ばれた少女』にもアルビノの少年が登場するが、神秘的な存在感が、畏怖とその裏返しの差別につながるのかもしれない。
『アルビノを生きる』
川名 紀美 著
河出書房新社 刊
2013年6月 初版発行
★参考
石井更幸さんのサイト「白い旅人」
関西方面のアルビノの交流会「ドーナツの会」
書評日刊サイゾー
身の毛もよだつアフリカの蛮行「アルビノ狩り」
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コメント
偏見のない目で見れば、
美しい存在ですよね。
個性の一つ、と認識して、
弱視や紫外線に弱いといった特性を
周囲がきちんと配慮できれば…
投稿: にゃみ。 | 2013年9月 2日 (月) 16:26
>神秘的な存在感が、畏怖とその裏返しの差別につながるのかもしれない…
動物でもアルビノ種は親が侵入者とみなして殺すこともあるらしい…
でも知り合いのアルビノチャイルド
キャンプで森の中をひらひらと駆け回っているのを見ているとまるで妖精のよう!!
とても綺麗で…見とれてしまったことがある(^^)//
投稿: オバカッチョ | 2013年9月 2日 (月) 16:16