『神去なあなあ夜話』
ちょっと前に読んだ『神去なあなあ日常』の続編的作品。前作で、母の陰謀(?)によって突然紀伊半島?あたりの、山深い林業の村で働くことになった主人公の一年後の物語。
元・都市生活者の、極フツーな若者の目線で綴られる「なあなぁ」(作者の造語)な村の日常がなんとも面白い。
なかなか進展しない恋の行方や、まんじゅうのようにちんまり座ってるだけのシゲばあちゃんのスーパーぶりなど笑える要素も盛りだくさん。
『神去なあなあ夜話』
三浦しをん 著
徳間書店 刊
2012年11月 初版発行
現在、矢口史靖監督の最新作として映画制作がすすめられていて、来年初夏には公開となるらしい。
★WOOD JOB!
この作品は、主人公の平野勇気が夜中にパソコンで架空の読者に向けて綴っている文章、という体裁になっている。
冒頭部分をちょこっと抜粋。
やあ、みんな。ひさしぶり! 半年以上もご無沙汰したけど、元気だったかな? 俺に会えなくて、さびしさに泣いちゃってた子もいると思うけど、涙は拭いてくれ。
I'll be back! 帰ってきたぜ!
って書いてもむなしいんだよなあ。「みんな」ってだれだよ。インターネットにも接続してないパソコンに向かって、しこしこ書いてるだけなのに。ヨキの家、相変わらず黒ジコ電話なんだ。
ラストに近い部分
この村のひとたちは、百年後を見据えて山に木を植えつづけ、先祖が植えた木を切りつづけて、生きてきた。それは、笑ったり怒ったりしながら暮らす毎日を、自分たちと同じように、百年まえのひとたちも送っていたし、百年後のひとたちもきっと送るにちがいないと、信じているからだ。自分が死んでも、あとを生きるひとが幸せでありますようにと祈って、神去村のひとたちは山の手入れをしつづける。その信頼こそが愛ってやつじゃないのかなぁ。
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