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『原発ホワイトアウト』

(扉)歴史は繰り返す、一度目は悲劇として、二度目は喜劇として(カール・マルクス)

参議院選挙の投開票日の夜から始まる小説。Dsc01871もちろんフィクションなのだが、「小泉内閣時代は小泉首相の政敵6人が葬られている…」とか、ムネオハウス談合事件の実例とか、事実や“事実っぽいコト”が作中に織り込まれていたりするので、非常に微妙な感触。
落選議員の中で「使えそうなコマ」を狙い撃ちして、高額報酬の大学客員教授のポストをちらつかせて手なずけたり、官僚を巻き込んで内部告発を企むジャーナリストが盗聴をそそのかしたり、再稼働を阻止しようとする原発立地県の知事を“始末”する手口なんかが鮮やかに描かれる。なるほどねー、水面下でいろんなことが起こっているのね、と(小説であることを忘れて)感嘆、いや震撼してしまった。

『原発ホワイトアウト』
若杉冽 著
講談社 刊
2013年9月 初版1刷発行

(著者略歴)
東京大学法学部卒業
国家公務員Ⅰ種試験合格
現在、霞が関の省庁に勤務

長岡の看護師Kou-Gさんから託された一冊だが、一読の価値あり。
702文庫に届けておくので、ぜひ読まれたし。
(扉)の言葉の意味は、ネタバレするので書かないが…

「政権と検察は一心同体」なのだから、政権側にとって不都合なことをすると、どんなに巧みに立ち回っても、結局は尻尾をつかまれてしまうってワケだ。

政治家じゃなくても、デモなど反原発運動に関わっているひとは、酔っぱらっても道端で立ちションなんかしちゃダメだし、うっかり夜に無灯火で自転車こいじゃダメだ。近頃はビデオなどで執拗に参加者を撮影し、氏名や自宅を突き止めて、近所に聞き込みに回ったりということもあるらしい。プレッシャーをかけることが目的?
目をつけられると、メールやLINEのやりとりなんかもぜんぶ証拠として押さえられるし、目立たないように密会していてもあちこちにある防犯カメラから逃れることは困難。いったん被疑者として逮捕されれば、報道によって「悪者」というイメージが拡散され、容疑が事実であれでっち上げであれ、社会的に抹殺される。小沢一郎氏のように。

帯に、元大阪地検特捜部検事氏が
「私は『闇社会の守護神』などと呼ばれたが、
本書が明かす日本の裏支配者の正体は、全く知らなかった… 
著者の勇気を讃えたい」
と寄稿しているが、現役キャリア官僚であるとされる著者の正体については、やっきになって“犯人捜し”が行われているという物騒な話も伝え聞く。どうぞご無事で二作、三作と書いていただきたい。

しかし…こんな状況のなかで、「秘密保護法」が可決されたらいったいどうなるのだろう。戦前の暗黒時代の再来しか想像ができないのだが。

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