『腸!いい話 ―病気にならない腸の鍛え方』
「ヒトは食べるもので生きているのではない。消化するもので生きている」 ブリア・サヴァラン『美味礼賛』
慶應義塾大学医学部教授で、高血圧、糖尿病血管合併症、再生医学、抗加齢医学などが専門の伊藤裕氏が「腸」に着目して書かれた健康指南書。
『腸!いい話 ―病気にならない腸の鍛え方』
伊藤 裕 著
朝日新聞出版 刊
2011年11月 初版発行
「料理」をするのはヒトだけで、ほかの動物は加熱調理をしないナマものを食べている。だからナマで食べた方がいい、という説がもっともらしくwebなどで流されていることがあるが、「ナマ」で食べるということは、O-157などの食中毒などのように菌を取り込むリスクがあること(胃酸で多くの菌は死滅するが)、調理する方が消化吸収がよくなることなど、メリットは大きく、「料理」が脳を発達させたという側面もあるそうだ。たとえば、草食性の生きものの場合、食べて得られるカロリーはわずかなので、一日の大半を食べることに費やさなければならない。それに対して、調理することで効率よく栄養素を摂取できるようになって、獲得したエネルギーを消化活動のために費やす量が減って、その分脳にエネルギーを多く回すことができるようになったのだとか。
以下、極にゃみ的ザクザクっとした要約。要点のみ。
生物は「食べるため」に生きているとも言えるが、下等な生物ではそれが生きることのほぼすべてであるのに対し、人類は20数億年前、細胞の中に「ミトコンドリア」を受け入れることによって、ATPを獲得した。要は「パワープラント」を得たようなもので、一時的にエネルギーを溜め込んだりもできるようになったが、同時に酸素によるリスク(=活性酸素によって「老化」や「がん」が発生)も得てしまった。
ただ、“ほどよい”量の活性酸素は「ホルメシス効果」(多すぎると有害だが、少ない量では生体にとってプラスに働く)があって、適度であれば病気に対する抵抗力が増すことが確認されている。
★適度な運動が必要なように、腸を鍛えるためには、適度な量の食事を決められた時間にきちっと摂ることが重要
また、腸を腹部にきちんと収めておく筋肉(腹横筋)を鍛えることも重要で、それには腹を抱えて笑うことが有効。
★腸のために気をつけるべきこと
・ダラダラ食いをしない
・決めた食事時間以外に食べ物を口にしない
・食べ物を身の回りにおかない
・空腹感を感じる時間を作ること
・ちょっとキツめの運動をして全身のミトコンドリアを活性化させる
※運動をすると血管拡張ホルモンが分泌される=七味唐辛子にも同様の効果
・血管を傷つけるメタボ三兄弟「塩分・糖分・脂肪分」は腸にとっても大敵
・満腹になるまで食べない ガツガツ食べない
・バランスの良い腸内フローラを維持。発酵食品やプレバイオティクス(オリゴ糖など)を食事にとりいれる
・カロリー制限をすれば寿命が延びる
カロリー制限(CR)…通常摂取するカロリーを20~30%減らす
間歇的絶食(IF)…短期間の絶食
※IFの効果はまだ実証されていないが、CRはほぼ実証されている。
20~30%のカロリーオフで寿命が1.5倍も延びるとされており、心血管病、糖尿病、がんのリスクも減る。
IFは「ハイリスク・ハイリターン」だが、「オートファジー」という細胞の若返り現象?により寿命が延びるが、プチ断食の評価については未解明で今後の課題。
・適正摂取カロリーは標準体重(kg)×25lcal
※適正体重50kgなら 1250kcal これの20%オフだと…1000kcal。二食分以下か
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