湊川「パルシネマ」
昨日地下鉄妙法寺へ下山したので、湊川で途中下車してちょっと寄り道。
昨年から気になってた映画がちょうどコチラでかかっていたので…
「パルシネマ」という、いわゆる名画座?
外観的になんだかアヤシくてちょっと入りにくいのだけど、勇気を出して(?)行ってみたらば、じつはとても素敵な映画館だった。
湊川公園下の半地下?なロケーション。
座席は、白いカバーをかけた列と、そうでない赤い列があって、「男性のお客様は白いカバーの一般シートに。女性の方にはカバーのない赤いシートをお勧めします」というアナウンスが。要は赤シートは女性専用席で、お一人様女性も安心して鑑賞できるよう配慮されている。腰当てクッションやひざ掛けなどの貸し出しもあって親切。そして、なんといっても料金が安い。一般1200円で、2作品が交互に上映されるのだが、1チケットで両方観れる。
で、観たかったのはインド映画の『スタンリーのお弁当箱』。
ミュージカルばりの歌と踊り、そして派手なアクションが連続する長尺モノ、ってイメージの“ボリウッド”映画とは一線を画した作品で、子どもたちの表情のかわいらしさ&おいしそうなインドのお弁当が素敵!
画面からスパイスが香り立つような作品だが、日本人にはなじみのないものもあるからか、ロビーには親切な展示が。
下に置かれたターリーに本物のスパイスが入ったカトゥリが並んでて、実際に香りをかいでみることができる。
この作品は、実際の学校でワークショップとして撮影されたもので、子どもたちは映画の撮影だとは知らさられずに参加していたのだそう。
生き生きとした表情がとても素敵で、お弁当を持ってこれなくて、ランチタイムにはこっそり水を飲んで空腹を紛らしている級友に、みんなが自分のお弁当をわけてあげるシーンも演技じゃないんだと思うとスゴイ(お弁当を持たせてもらえなかった子だけはわかってたのかな?)。
登場人物の中に、すんごくイヤな先生がひとりいて、自分はお弁当を持って来ずに、ほかの先生にもらったりしてるくせに、豪華なお弁当を持ってくる子どもの分を食べようとして、お弁当を持ってこなかった子(主人公のスタンリー)をいじめて追い払ったりするのだけど、なんと!その超イヤな先生役がじつは監督で、いじめられる子ども役は監督の実子だそう。似てるっけ?
ともかく、美味しそうで、楽しくて、なかなか素敵な映画であった。もれなくカレー食べたい病に罹患するけど。パルシネマで1月15日まで上映。
そして、抱き合わせ上映作が『少年H』。
観るつもりじゃなかったんだけど、両方観てってねと言われて、せっかくなので観てみた。が、これは、神戸っ子としては観てよかった。ほとんどがセットでの撮影なのだけど、須磨海岸でのロケがとても印象的。
妹尾河童氏の原作「少年H」に関しては、勁草書房刊、山中恒・山中典子著『間違いだらけの少年H』をはじめ、「時代考証的に成立しないエピソードだらけ」という批判が多いのだが、いろいろとキナくさいにおいが立ち込めつつある今のタイミングで、この作品が映画としてリリースされているのは、いろんな意味で絶妙なのではないかと思う。
大本営発表を鵜呑みにし、お上の言うことに唯々諾々と従ってきた“大衆”が、軍部の暴走をはからずも後押ししていたのではないか?という、当時の時代への批判が込められているような気がする。そして、後世を生きる我々が、過去の歴史に学ぶことなく同じ轍を踏むなら、それはさらに罪深いことだろう。
平和への誓いを込めたこの国の憲法や、先人が命がけで勝ち取った言論の自由を、我々の世代で手放すようなことは決してあってはならないと改めて思った。そして、「表現活動を通して、その思いをひとに伝えることができるのだ」という、希望のようなもの?が垣間見えたような気も、かすかにしたのだ。
参考サイト:
★降旗康男監督インタビュー
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