ニューイヤーコンサート@コンポーザーピアニスト“天平”
「コルベ講堂」という素敵な会場で、天平ピアノソロ&ゲストヴァイオリニスト辻本明日香さんによる演奏のひと時。
Gパンに半袖Tシャツで登場した筋肉隆々の若きピアニストは、神戸出身の33歳。阪神大震災で自宅が全壊、当時まだ中学2年生で何もできなかった悔しい思いから、NY在住のときに起きた東日本大震災では鎮魂の曲を作って寄付を集めたり、被災地でのコンサートを行ったりしてきたという。
楽器を手に世界を旅したりしながら、ジャンルを超えた音楽世界を構築。各地で作曲されたいろいろな曲を力強く演奏してくれた。
MCで作曲時のエピソードなどを語ってくれるのだが、面白いなと思ったのは、「この曲を作ったのは…」ではなく、必ず「この曲ができたのは…」という言い方をされた点。
音楽家には“音楽が降ってくる”ようなことがあるみたいだけど、このピアニストもそうなのかも。
ピアノが持つ奥行きのある音と、この奏者独特の力強く表現力豊かな演奏、そして天井の高い聖堂に響く音の世界… 完全にこの音楽家の音の宇宙が構築されていた。辻本明日香さんの優美なバイオリンもよかった。
新春にふさわしい、心に凛凛とした気が満ちてくるようなひと時に感謝。
【てんぺい】
本名 中村天平 1980年、神戸生まれ
中学2年のとき阪神大震災で自宅が全壊。その後高校に進学するも、意義が見つけられず半年で中退。引っ越し屋や解体業などの肉体労働をしながら人生を模索、音楽を志して音楽専門学校から大阪芸大へ進学。演奏学科ピアノコースを首席で卒業し、2006年からNYへ留学。2008年にファーストアルバム「TEMPEIZM」(EMI)でデビュー。2010年にはカーネギーホールでソロリサイタル。その後毎年ヨーロッパツアーを行い、東京・NYなどで活躍中。
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