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2月の六甲山大学ミントサロン『植物の不思議なちから』

第12回目の六甲山大学ミントサロンへ。前回に引き続き、皆勤賞継続中。
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神戸薬科大学・薬用植物園の沖和行さんがゲストスピーカー。「植物の不思議なちから」と題して、古来よりさまざまな植物を食用・薬用、その他くらしに役立ててきたというお話を。

人々が集団で暮らすようになると、人それぞれの得手不得手や指向によって専門性が出てくる。植物に詳しい者たちが、試行錯誤を重ねた結果薬学のジャンルが成立。古代エジプトではすでに薬草を活用していたそうだ。人間にとって最も我慢できないものは「痛み」で、痛みを止める作用を持つものは早くから活用されてきた。たとえば、柳の枝はかじることで歯の痛みを抑えることができる、など。近代になって合成薬品も作られるようになったが、元々はすべて植物から作られてきた。

植物は、生き延びるためのさまざまな戦略を持っていて、たとえば太陽光によって光合成をするが、強すぎる紫外線は植物にとっても有害(酸化作用)なので、抗酸化のためにカロテノイドやアントシアンなどの物質を作る。紫外線が強い高山では、アントシアンをたくさん持つようになるため、高山植物は色鮮やかなものが多いのだとか。

また、タンニンは胃の働きを悪くしたり、食欲を抑える作用があって、虫に葉を食べられたときにあまり大量に食べられないようにしている。

形状もまた、適応のための要素。針葉樹は強風を受け流す葉の形で、かつ葉を交互に出すことでお互いに遮光しないようになっている。
ハエやアブに花粉を運ばせる花たちは、群れて咲くことが多いが、ハエ・アブは花を選ぶことができないため、交雑を避けるために固まって咲く。一方、ハチなどは花を選ぶことができるので、ハチに花粉を運ばせる花は群れる必要がなく、形状などに独特の進化が見られる。コガネムシの類を呼ぶのは白い花が多いが、彼らは飛ぶのが下手で、ピンポイントで着地ができないため、テーブル状の形に咲くことでうまくキャッチするものが多い。

染色に使われる植物もいろいろあるが、藍はもともとガラガラヘビが嫌うことから、虫よけや蛇よけのために衣類に使われた。
黄檗は防腐作用、紅花は血行促進、ウコンは強壮に効果がある。かつて、女の子の産着は紅花で染め、男の子の産着はウコンで染めたそう。赤ちゃんは産着のそでをしゃぶったりするが、そのときに水溶性の成分が摂取されることになるとか。
また、伝統や風習の中にも植物の薬効を活かしたものがいろいろ。
「節句」はそもそも植物に対応していて、1月の春の七草に始まり、桃、菖蒲、笹、菊と続く。節目ごとに薬効のあるものを取り入れてきたそう。ちなみに正月に飲む「お屠蘇」も元は「屠蘇散」という薬を入れた酒のこと。

最近話題の「β-クリプトキサンチン」についても。温州ミカンが旬を迎える12月から1月頃の約2か月間、毎日2個づつ食べると、一年間効果は継続するそうだ。ただし、かんきつ類なら何でもいいワケではなくて、「温州ミカン」限定。
参考サイト:農研機構「旬」の話題 より「ミカンとβ-クリプトキサンチン」
ココ!


ちなみに、神戸薬科大学はこんなところ… Dsc03979
桜の名所で、極にゃみ的には毎年この裏手の権現谷東尾根に桜を見に行く。
今年は、桜の頃に沖先生に薬用植物園をご案内いただこうと企んでいる。

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コメント

植物、昆虫の人との関わりを知ると本当に楽しいですね。
自分は種名は全然知りませんが人と関わる文化を感じることが好きです。

投稿: dragonfly | 2014年2月 8日 (土) 02:02

古代から人々は植物や昆虫や動物と関わりながら、
いろいろなことを探求しながら暮らしてきたんですよね。

ずっと受け継がれてきた、大切な知恵や知識を、
現代に生きる私たちはあまりにも知らなすぎるような気がします。

奥が深くて面白い世界です。

投稿: にゃみ。 | 2014年2月 8日 (土) 07:30

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