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『遺伝子の不都合な真実: すべての能力は遺伝である』

表紙より……「不都合な真実」とは、うすうすみんなが知っているけれど、Idenshi それをあからさまに口にしたらまずいことになるので言わない、そういう真実のことです。本書は、現代人が持つ「不都合な真実」のひとつ、「人間の能力や性格など、心のはたらきと行動のあらゆる側面が遺伝子の影響を受けている」という事実を明らかにします。……

『遺伝子の不都合な真実: すべての能力は遺伝である』
安藤寿康 著
筑摩書房 (ちくま新書) 刊
2012年7月 初版発行

「ヒトの行動傾向のすべてにかなり大きな遺伝の影響がある」という“行動遺伝学”の観点から書かれた一冊。遺伝と環境が人の能力や行動にどう影響するのか…

★本書で書かれていることと近い内容の講演書き出しが閲覧できるサイト
*日本子ども学会 子ども学カフェ
第2回「遺伝子は『不都合な真実』か?」(1)

★この書評も参考になります。
*shorebird 進化心理学中心の書評など 
2013-11-21「遺伝子の不都合な真実」

以下、極にゃみ的抜粋を少々。

第6章「遺伝子と教育の真実―いかに遺伝的才能を発見するか」 より

・科学的態度とはなにか?
 20世紀前半のイギリスの哲学者ムーアは「事実命題から価値命題を引き出してはいけない」といいました。この約束事を破ることを自然主義的誤謬といいます。またさらにさかのぼって18世紀のイギリスの高名な哲学者ヒュームは「“である”(事実)から“すべし”(当為)へ移行することはできない」といいました。この約束事をヒュームのギロチンといいます。
 科学的にものを考えるにあたって、このことは常に念頭に置かねばならないとされています。つまり遺伝の影響があることを事実として示されたからといって、だから遺伝の影響は重要だと考えたり、遺伝の影響を重視すべきだと主張してよいことにはなりません。
遺伝に起因する格差や差別があることは自然なことであるから仕方ないと放置してよいことにもなりませんし、逆にかつての優性政策のように、犯罪者や精神病者やユダヤ人は遺伝的に望ましくない人なのだから抹殺することが正しい、あるいはある遺伝子は病気や犯罪など望ましくない結果を生み出すから抹消すべきだと考えてよいことにもなりません。
 これは、逆もまた真です。つまり、価値命題から事実命題を、「すべし」から「である」を勝手に導き出してもいけません。こちらはしばしば見落とされがちです。第1章で、ジェンセンの論文が黒人と白人との知能の間に遺伝的差異がある可能性をほのめかしたために、大きな批判を受けたことを紹介しました。人種間に知能の遺伝的差異があると発言することは、今やタブー視されており、認知能力に人種間の遺伝的差異はないことを前提にものを考えようとする科学者や識者たちが圧倒的に多いのが現状です。
(中略)
 ホモ・サピエンスは生物学的に単一種であり、生物学的に異なる性質をもった「人種」というものが実在するわけではないということはきちんと認識しておく必要があります。人種をはじめいかなる集団間の遺伝的差異も、遺伝子型の頻度分布の差異からくる集団レベルでの統計学的な差異(平均値や分布の形のちがい)、つまり「程度の差」です。そして身長や体重、運動能力や学力など、仮に集団間に平均値の差があったとしても、ほとんどの場合、それ以上に同じ集団間の個人差の方が大きいということもよく知られています。

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コメント

>人間の能力や性格など、心のはたらきと行動のあらゆる側面が遺伝子の影響を受けている…

これはもう、実体験として個々に感じちゃう事案だわ。
笑っちゃうくらいにね。
家系に累々とコピーのように伝わっていることは、3代目までさかのぼると認めざるを得ない…
しかし
その中でいかに努力してわが道を切り開いていくか…
徒労に終わる場合もあるし、画期的に飛翔できたこともあるわけで…それが遺伝云々定義付けて考えるとあほくさくなるから…充実感があったり、何かに役だっていればよしと我が身を慰め…

短い一生…そんなにたくさんのことができるわけじゃなし
時はするすると流れていき…100年後には
今生きている人たちは誰もいない。

投稿: オバカッチョ | 2014年2月12日 (水) 14:04

短い一生…

ホントにそうですね。

短い一生なのに、
おカネとか名声とか、
そんなものに翻弄される人の
なんと多いことか。

木々や、山河や、
大自然のスケールから見れば、
人間なんてほんとにちっぽけなものなのに。

投稿: にゃみ。 | 2014年2月12日 (水) 19:52

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