『頂きへ、そしてその先へ』
1971年生まれの竹内氏は、1995年のマカルー(8463m)を皮切りに、8000m峰にチャレンジを続け、2012年に14座目のダウラギリ(8167m)の登頂に成功して日本人初の8000m峰14座完全登頂を果たした。
自らを「プロ登山家」と名乗る著者が考えた、63のテーマについて書いた本。
「頂上はゴールではない!」
「常識だからにはだまされるな」
「恐怖は打ち消すものではなく、利用するもの」
「安全だと思い込んでいる場所こそ気をつけるべき場所」etc.etc.
『頂きへ、そしてその先へ』
竹内洋岳 著
東京書籍 刊
2013年8月 初版発行
★竹内洋岳公式ブログ
極にゃみ的抜粋を少々。
22 「想像力について」
登山とは想像力を競うスポーツだ
私は登山とは、想像力を競う競技だと思っています。
いかに多くのことを多方面に、多層的に想像できるか。そこを競い合って面白がっている。世界中が未踏峰だらけだった大昔に「誰も登ったことのないこの山にどうやったら登れるか?」を誰もが想像し、われ先にと登りだしたのがそもそも登山の始まりです。
(中略)
いいことだけの想像力はただの空想であり夢想です。悪いことだけの想像力はただの怖がりであり怠惰です。そのバランスを見極め、最善の答えを出して進み続ける。それが登山というスポーツの他にはない圧倒的な面白さであり、大きな魅力だと私は考えています。
25 「常識」について
「常識だから」にはダマされるな
常識なんて非常に危ういものだと私は思っていまして、あまり信頼しすぎてはいけません。特に何の根拠も示さず「常識だから」という説得の仕方をしてくるような人が現れたら要注意で、その常識が本当に正しいことなのか、勧める理由は何なのか、それをしっかり自分で考え確かめる。その態度は常に保つべきです。
私のように山登りをしている者からすると、登山の常識なんてものはもう呆れるほど日進月歩でどんどん変わっていくんです。少し前の登山専門書を見たら「これが今は最も安全なロープの結び方だ」なんて書かれてあって、その情報を頼りにしばらくやっていたら1年後には「実はこの結び方は危ないからやっちゃダメだ」なんて、まったく逆のことが平気で書かれていたりするんですよ。
| 固定リンク
コメント