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『それでも夜は明ける』

南北戦争前のアメリカ、19世紀前半の実話を映画化し、この春第86回米アカデミー賞を受賞した作品。Soredemo“自由黒人”(奴隷階級ではない一般市民)として生まれ、ニューヨークでバイオリニストとして活躍していたソロモン・ノーサップ。愛する妻や子どもたちと幸福な日々を過ごしていたが、旅先で計略に嵌められて誘拐される。奴隷制度が根強く残る南部の農園へ売り飛ばされ、以来12年に渡って過酷な日々を過ごすことに…。
南北戦争勃発の8年前(1853年)に刊行され、ベストセラーになった当人の自伝『12 Years a Slave』を元にスティーブ・マックイーンが監督として制作、黒人監督による賞獲得はアカデミー賞では史上初だとか。
出演者の一人でもあるブラッド・ピットも「プランB」のプロデューサーとして製作に関わっている。

*『それでも夜は明ける』公式サイト…ココ!

 

古代~中世にかけて、戦争に負けた国の兵を奴隷として使役したりということはどの国でも少なからずあっただろうが…

近世、南北戦争前のアメリカで、アフリカから拉致した黒人を奴隷として働かせたあのとてつもない蛮行は、“資本家”がそれ以外の人々を搾取する構造そのものだった。

近代に入って、侵略戦争を進めていた日本軍がアジア各地で「従軍慰安婦」を徴発した件はまだ未解決で、“終わっていない”問題。
(“慰安婦”と言う名称は、まるで心優しい女性たちが自らの意思で“慰めてあげる”かのような印象を与えるが、英語ではsex Slave=性奴隷、である。)
これらの奴隷制度はまさに“人類の暗黒史”と言える。

そして、「支配」「被支配」の関係は今もいろんな形で存在している。

この作品のシーンのように、「鎖につないだり」「鞭で打ったり」「木に吊るしたり」するような事例は(かなり)特殊だけれど、「見えない鎖」につながれていたり、「言葉や態度」の鞭で打たれたり、人間関係上で「つるし上げたり」…

教室や、井戸端(公園)や、職場といった小さなコミュニティで。
国家や民族といった大きなくくりでも。
それぞれに「支配」「被支配」のパワーゲームが行き過ぎて、いろんなレベルの悲劇が繰り返されている。

人はどうして他人を支配したいのだろう?
権力に酔うのか?利を貪りたいのか?その両方なのか?
それにしても、どうして他人を踏み台に利を得ようとすることが許されるのだろう。人類史の暗黒は決して晴れてはいないと思う。

この作品が投げかけるもの…
重苦しい何か、を、考えてみるひと時は大事かもしれない。
「自叙伝」が原作なので、主人公が最後に助かることはわかってはいるのだが、決して救いのないラストである。それでも、見てみてほしい作品。

★神戸では…シネ・リーブル神戸にて上映中。

ところで、作品のラストに「ソロモン・ノーサップはいつ どこで どんなふうに死亡したのかは不明」というような意味の一言がさりげなく書かれていた。その意味は…?

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