『ガタロ 捨てられしものを描き続けて』
広島の商店街で長年清掃員として働きながら、清掃用具など身近なものを描き続けている“ガタロ”さんの作品集。
広島では河童のことを「河太郎(ガタロ)」と呼ぶそうで、それ以外にも汚い身なりでふらふらしているような人のことの蔑称や、自嘲の言葉、場合によっては差別用語として認識されることもある名前。それを“絵を描く自分”につけたのは、「自由な感じがする」からだとか。
体調が悪く、どの職業も長続きせず、各地を転々としていたが、30年前に故郷広島に戻って、基町のショッピングセンターで清掃員として働き始めたときも、仕事のきつさ、身体のきつさに3か月持たないだろうと絶望的に。そんな中、毎日使う掃除用具たちを見ていると、長年見知った友人のように思えてきて、それらの佇まいが何より美しいと感じ、描き始めた。
HNKのドキュメンタリー番組で取り上げられて注目を集め、その番組を作ったディレクター氏との交流から生まれたのが本書。
『ガタロ 捨てられしものを描き続けて』
ガタロ 絵/中間英敏 文
NHK出版 刊
2014年6月 初版発行
★NHKハートネットTV
「捨てられしものを描き続けて ―“清掃員画家”ガタロの30年―」…ココ!
少しだけ作品を…
左は「清掃具車 大五郎」、右は「象布」。
ドームもよく描く題材。
「豚児の村」より(部分)
峠三吉『原爆詩集』の表紙絵や、絵本『おこりじぞう』の挿絵で知られる画家・四國五郎との交流によって、被爆地としての“ヒロシマ”を描くようになったガタロさんの作品。
ヒロシマとフクシマ、、、、
ガタロさんの詩。(まどう、は広島弁で「返す」という意味)
「マドエ!」
黒々ノ緑バ、マドエ!
アノ田畑ヲ、マドエ!
木ノ一本一本ヲ、マドエ!
川、マドエ!
虫バ、マドエ!
土クレバ、マドエ!
歩イタ道バ、マドエ!
ソコデ生キタコトヲ、マドエ!
囲ンダ火ノ温モリヲ、マドエ!
放置シタ牛(ベコ)バ、マドエ!
黒キ牛(ベコ)ノ命バ、マドエ!
牛(ベコ)ノ流シタ涙バ、マドエ!
揺レル地底ノ叫ビヤ、消エル小サキ気配ヤ、予感バ、マドエ!
オマエノ、オマエ自身ヲ、
ワタクシノ、ワタクシ自身ヲ、
人間ノ 人間タル声バ、マドオウ
アノ子ノ未来バ、未来バ、マドオウ
マドオウ
| 固定リンク
コメント