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『「筋肉」よりも「骨」を使え!』

元陸上選手(短距離走)でスポーツトレーナーの松村卓氏と、Kinniku_hone武術研究家の甲野善紀氏による対談本。
古武術に学ぶ身体操法』同様、読みっぱなしできちんと“身になってない”感じでずっと放置してたのだけど(そんな本は山盛りあるんだけど)。

ストレッチや筋トレの有効性に対する疑問をはじめ、現在“常識”とされていることを疑ってみるというところから、体幹を支える骨の重要性に着目した考え方などを展開。スポーツ界の悪弊などに関してもズバッと言及。西洋人と日本人は元々身体の使い方が違っていたこと、身体というものが潜在させている無限の可能性について…などなど。とても気になるテーマの本。
賛否両論はあると思うけど、スポーツ指導者とか、指導的立場にある人は一読してみて損ではないと思う。いろんな意味で。


『「筋肉」よりも「骨」を使え!』
ディスカヴァー・トゥエンティワン 刊
2014年5月 初版発行


【参考】
★まとめサイト「骨ストレッチ

お二人の対談から抜粋

松村
 ストレッチで柔軟性を高めるとか、筋力トレーニングや体幹トレーニングでパフォーマンスをアップさせるとか、そういう「正しい理論」を盲目的に信じている人が多いんだなと、私も感じます。残念ながら、その正しい理論はほとんど役に立っていない、むしろ害になっていることが多いわけですが……。
甲野
 それはまったく同感ですね。筋力が足りないからケガをした、だからもっと筋トレをして鍛えようとか、本当に馬鹿げていると思いますよ。いい動きというのは、力が抜けるべきところは抜けて、入るべきところは入って、それぞれの動きが微妙な相関関係のなかにあるわけです。それをあちこち強引に鍛えても、いい動きにうまくつながるはずがありません。
松村
 それがわからない人が多いんですよ、専門家の間でも。
 たとえば、現役時代に愛知県のあるスポーツ関係の研究施設に行って最新の機器で筋力を測定してもらったことがあるんですが、そこで「オリンピックの選手以上にパワーがある」って評価されたんです。でも、その頃の私は、ずっとケガに泣かされていて、思うようなパフォーマンスがまったくできていなかった。「それだけのパワーを持った自分がなぜケガばかりするんですか?」と聞いても、測定してくれた専門家は不機嫌な顔をするだけで何も答えられない。
(略)
しかも、後日聞いた話なんですが、当時、アジア最速のランナーとして活躍されていた伊東浩司さんは、同じ検査で「女子選手並み」の数値しか出なかったそうなんです。その彼が、当時は100メートル10秒00という、ものすごい結果を出していた現実をどう説明すればいいのか?この話を持ち出すと、さらに何も答えられなくなる(笑)。たぶん、ありえない、ウソだと思うんでしょう。


えっと…、
私は「ストレッチしない派」なのだけど、それは、「山歩き」の場合には、必ずしも必要ではないと思っているから(むしろ、弊害の方が多いと思っているから)。
歩きはじめのペース配分をきちんとすれば、いわゆる「準備体操」的なことをしなくても問題は起こらない。むしろ、下手にすると問題が起きる、という認識は、現在のスポーツ指導の現場で主流ではないのだろうけど。

本書に掲載されている驚異的な写真を1点。
Dsc07837山形県酒田市の「庄内米歴史資料館」収蔵、明治時代の写真。
身長150センチくらいの小柄な女性が、米俵5俵を担いでいる。

現代人が失った、驚くほどの身体能力を、一昔前の日本人は普通に持っていたのだろうと思う。

なぜそれが失われたのか。
「利便性」を追求したから、ではないのか?

そろそろ、「効率」とか「利便性」ってこと、疑った方がよくないか?

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