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『本当は憲法より大切な「日米地位協定入門」』

「日本はアメリカの属国である」という言説は、的確に状況を表してはNitibei_tiiいるけれど、幾分自虐的な、比喩的表現だと思っていた。しかし、違うのである。言葉通り、そのままの事実。
本書の帯から
●なぜ戦後七〇年たっても、まだ米軍は日本にいるのか?
●なぜ米兵が罪を犯しても、ほとんど逮捕されないのか?
●なぜアメリカではできない危険なオスプレイの訓練が、日本ではできるのか?
●なぜ基地をひとつ動かそうとしただけで、首相が失脚してしまうのか?
●なぜ原発災害の当事国である日本が、原発をやめられないのか?
●なぜ経済的利益のないTPPが、強引に進められようとしているのか?


その答えは本書に書かれている。

「戦後再発見」双書2
『本当は憲法より大切な「日米地位協定入門」』
前泊博盛編著/明田川融、石山永一郎、矢部宏治著
創元社 刊
2013年3月 初版発行

最近、“衝撃のドキュメンタリー”が多い。『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』『絶望の裁判所』もしかり。
政府は必ず嘘をつく”のだ。不都合な情報は隠ぺいされ、意図的に偏向した報道が垂れ流される。けれど、この本に記されていることは、単なる情報隠ぺいというようなレベルの問題ではない。国としての存在の根幹に関わる問題。

Part1は「日米地位協定」について、17問のQ&A形式でわかりやすく解説。
Part2では、外務省に存在する日米地位協定に関する裏マニュアル(機密書類)について。
最後の「資料編」では、「日米地位協定」の全文を掲載し解説。

「日本はアメリカの属国である」と言わざるを得ない現実と、「憲法が機能していない」という異常な状況。この国の実態について、一人でも多くの人に知ってもらいたい。
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本書の口絵に使われているこの写真は、2004年8月13日14:17、沖縄国際大学本館ビルに、米軍CH53D大型ヘリが墜落、爆発炎上したときのもの。

当該機は墜落前から壊れ始めていて、大学や周辺の商業ビル、民家など50か所以上に多数の部品が散乱。バイクをなぎ倒し、中古車店の車を破壊し、民家の水タンクに穴をあけ、マンションの窓ガラスを割り、乳児が眠る部屋のふすまに突き刺さった。
事故発生直後に、隣接する米軍普天間基地から数十人の米兵がフェンスを飛び越えて構内になだれ込み、現場を封鎖。日本人をすべて排除、集まったマスコミを威圧して撮影を妨害。一連の事態をたまたま撮影していたカメラマンは、周囲に居あわせた市民が協力して逃がしたために撮影データは没収を免れたという。

写真中央部に黄色い服を着た人がいるのは、ヘリの安全装置に使われていた放射性物質(ストロンチウム)が飛散したため。数日間にわたって現場を封鎖し、最終的には機体の残骸、汚染された土などを持ち去り、すべての証拠を隠滅。この事故で、人的損害が出なかったのは「奇跡中の軌跡」だったのである。ほかにもある。

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1968年、九州大学にファントム機が墜落。1977年には横浜市緑区、1988年には愛媛県の伊方原発の近くにヘリが墜落している。
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沖縄だけではない。住宅密集地にある横手基地も同じ。ココは「世界一危険な飛行場」。

日本の航空法では、
「航空機は、離陸または着陸を行う場合をのぞいて、地上または水上の人または物件の安全および航空機の安全を考慮して国土交通省令で定める高度以下の高度で飛行してはならない。ただし、国土交通大臣の許可を受けた場合は、この限りではない」と定めている(第81条)。

けれど、米軍のオスプレイは“適用除外”。
本国では「ウィドウメーカー(未亡人製造機)」と呼ばれているオスプレイは、日本の21県138都市の上で、高度60mで想定されている危険な訓練飛行を行う。配備されたのは沖縄だけれど、訓練飛行は沖縄だけじゃない。

アメリカ本土、および沖縄でも米兵の家族が住むエリアの上では、そのような飛行訓練は行われない。なぜなら“墜落したときに危ないから”。

日本人の民家や学校は関係ない。なぜそんな理不尽が通るのか。
属国だからである。


ちなみに、Part2で解説されている外務省の機密書類については、2004年1月13日に琉球新報が全文を紙面で公開するという大スクープをぶちかまし、その年のJCJ(日本ジャーナリスト会議)大賞をはじめ、報道関係の大きい賞を3つも受賞。

琉球新報社から『外務省機密文書 日米地位協定の考え方 増補版』が出版されている。
★立ち読みコーナー…ココ!

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コメント

>なぜそんな理不尽が通るのか…

支配する立場にいるものは…傍若無人で独善的になりがち
それは人間の性でもありましょう。

ひとつひとつの理不尽な事案を取り上げていくとその裏には必ずと言っていいほど強者が弱者を支配、搾取する構図が見えてきます。歴史をさかのぼってもそれは否めません。

正義はいつもそれぞれの側にあるし、それぞれが主張する。いつも相対的です。
だから正義の名のもとに戦がはじまる。

本当の基準は良心ではないでしょうか。
個々に内在する良心ではないだろうか。
それは理屈抜きのものです。

こんなことするとあの人が悲しむ…という
他者への気配りや優しさ…だと思います。

殺気立った大地を、空気を鎮めるのはそれしかない!
と思っています。

投稿: 同人 オバカッチョ | 2015年2月 3日 (火) 15:49

良心、気配り、優しさ。
ホントにそうです。
そうなんです。

ごくごく些細な、ちょっとしたことなんだけど…

誰かを不幸にしてまで自分が利することを欲するようにだけはなりたくないですよね。

投稿: にゃみ。 | 2015年2月 3日 (火) 23:20

>誰かを不幸にしてまで自分が利することを欲するようにだけはなりたくないですよね

そうですよね、本当に。

利己的人間というのは、、
家族、仲間、仕事関係…自分の周りの利用できる人たちなら誰でも
平気で利用します。
そのことにまったく罪悪感がない。
俺が法律…くらいに考えている

対岸にいるとタカを括っていると、
気がつかぬうちに悪行に加担していた…なんてことも
情けない時代です。

投稿: 同人 オバカッチョ | 2015年2月 9日 (月) 14:10

どんな世の中であれ、せめて自分は良心のもとに行動しよう、と思っていても、知らず知らずのうちに搾取する側に加担する行動をしてしまっている、ということは今のご時勢、少なくないです。

個人的な消費行動ひとつとっても、原発を輸出したり、軍需産業に列する企業のものは買わないとか、そういう視点とか、
人質殺害事件のような事象を巡って、残忍で理不尽な組織を非難するつもりが、軍事国家への道筋を擁護する結果になったりとか。

ホントに注意深くヨノナカを見て行動しないと。

投稿: にゃみ。 | 2015年2月 9日 (月) 14:25

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