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『実践!田舎力-小さくても経済が回る5つの方法』

六次産業化、着地型観光、コンパクトシティ、再生可能エネルギーとJissenn_inakaいった要素に注目し、地域に固有の方法で“持続可能なまち”を目指している全国各地の事例を紹介している本。

★六次産業とは
一次産業(農業・漁業)+二次産業(加工)+三次産業(販売・サービス)を足すと6になるところから、これらが複合した業態を指す。
生産物としてそのまま出荷していた作物を加工して販売したり、農家レストランを運営すると、利益率が上がり、事業としての魅力が増すと同時に、消費者の側からも、生産者がはっきりした新鮮な食材を使ったメニューが味わえるのでメリットは大きい。

※全国にある農産物の「直売所」は約17000軒に上り、セブンイレブンの店舗数を超えている。


実践!田舎力-小さくても経済が回る5つの方法
金丸弘美 著
NHK出版新書
2013年8月 初版発行

規格が揃っていてある程度まとまった量でないと扱わない、大手スーパーや量販店が引き取らない生産物を活用するなど、「まずは小さく始めてみる」ことから成功している事例がたくさん紹介されている。
それは、まさしく農山漁村のことに限らず、都市民の日常でも同じことかもしれない。

高知県仁淀川町池川地区にある、茶農家の女性たちによるお茶にこだわったスイーツ工房「池川茶園」、年間30億円も売り上げのある馬路村の事例。

★コレも…霧の森

農山漁村と都市圏の人々を結ぶ「着地型観光」では、長崎県松浦市青島のまつうら党交流公社、柳田國男『遠野物語』で知られる遠野市の「語り部」1000人プロジェクト、我が兵庫県は豊岡市の出石まちづくり公社城崎温泉が紹介されている。

高齢化と人口減少時代の到来を見据え、医療機関、福祉、教育、行政窓口などをコンパクトにまとめて住民の利便性を高めるコンパクトシティという考え方の事例としては、富山市。「富山ライトレール」、自転車の共同利用システムなど公共交通を優先したまちづくりの紹介。江戸時代から四国の玄関口として栄えてきて、瀬戸大橋が開通した1988年には開町400年記念祭で沸いたが、バブル崩壊と大手資本の量販店の進出で危機に陥った高松丸亀町の事例では、行政まかせにせず、10年単位の長い目で再生構想を練り上げた「丸亀町再開発事業」。

環境モデル都市の項目では、コウノトリで一躍有名になった豊岡市。山間地が多く農業が盛んな特性を生かして木質バイオマス、BDF、堆肥化などを推進するエコバレー構想に取り組んでいる。
飯田市では江戸時代から寺子屋での地域学習が盛んで、その自立の伝統的精神を受け継ぐ公民館活動の紹介。公民館を主体として自治活動と行政が連携することにより、住民の意見が市政に反映されているという事例。

地域の住民が主体となって地域経済をつくり、持続させていくことの重要性についてくり返し述べられているが、重要な要素として巻末に挙げられているのは次の通り。

1.ものづくりの技術や職人を抱える中小企業や市民活動グループなど、地域にある人材と知的資源を発掘すること
2.農業、漁業、林業、山、川、生きものなど自然にある環境資源を保持すること
3.地域やまちづくりについての理解を深めるために、経済、環境、健康、食、歴史、文化などについてだれもが学べる場をつくること
4.地域全体のビジョンをまとめて、まちづくりの方向を明確に示すこと
5.地域住民と行政が一体となった協業の仕組みをつくっていくこと
6.地域の可能性を信じる気持ちと愛情と誇りを持つこと

自分が依って立つ、地域を、同じ地域の住民同士で成り立たせていくという考え方がこれから重要になってくるのだと思う。

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