『国家の暴走 安倍政権の世論操作術』
経済産業省の元エリート官僚、『日本中枢の崩壊』という本で政策批判をしたことから退職勧告を受け、「報道ステーション」のコメンテーターとして活躍するも、生放送中に官邸からの圧力によって降板に至ったとの爆弾発言で話題になった古賀茂明氏による本。
(「I'm not Abe」…)
序章『加速する暴走』 第1章『「軍事立国」への暴走』 第2章『戦争をするための「一三本の矢」』 第3章『本当の「積極的平和主義」とは』 第4章『アベノミクスの限界』 第5章『間違いだらけの雇用政策』 第6章『日本再興への提言』 終章『「改革はするが戦争はしない国」へ』からなる。
なるほどー、という部分も、そうかな?という部分もあったが、一読する価値はあると思った。
『国家の暴走 安倍政権の世論操作術』
古賀茂明 著
角川書店 刊
2014年09月 初版発行
参考サイト
★古賀茂明氏vs津田塾大学教授・萱野稔人氏緊急対談
【前編
】(2014年9月29日収録)
★官邸の圧力!?『報道ステーション』で安倍批判をした古賀茂明が番組を降ろされた!…ココ!
少しだけ抜粋。
第3章 本当の「積極的平和主義」とは より
P156
最終的な抑止力となるのは、強い軍隊ではない。国際世論であり、国際的な経済の結びつきである。現実に、これらが戦争に対する最大の歯止めになっている。
P159
シリア紛争やアフガン、イラク、イランなどでの紛争を見ていてよくわかると思うが、中東では、ある国の支配グループが隣の国ではテロリストと呼ばれることがよくある。正義の味方などいないし、本当の悪者もいない。米国にとっては、米国の石油利権などを守る政府は良い政府、ロシアにとっては、ロシアの利権を守る政府が良い政府だと判断する。
興味深いのは、核開発問題で対立しているはずの米国とイランが、「イスラム国」をめぐっては、双方にとって共通の敵になったことだ。敵の敵は味方という論理で、「イスラム国」と戦うためにイランが米国への協力を申し出るような状況にまでなった。
こうした事態を見れば、中東では安易に敵か味方かを決めてはいけないし、「米国は正義の味方だ。武器輸出も安全保障も、正しい国と一緒にやっていれば日本は安全だし、自分たちの行動も正しいと評価される」という安倍政権の単純な思い込みが、いかに危険であるかわかる。
終章 「改革はするが戦争はしない国」へ
P281
しがらみだらけの自民党、期待を裏切った民主党、野党でありながら安倍政権に擦り寄る野党、戦争遂行へと暴走する安倍政権……。国民は政治に対してずっと怒ってきた。怒ることがたくさんありすぎて疲れ果て、最近では、安倍政権がどんなひどいことをやっても、怒る気力すらなくしているように見える。
だが、諦めてはダメだ。次の総選挙まで、政治家がどんな発言をしたか、国会ではどういう法案に賛成し、どんな質問や答弁をしたかなどをしっかりと見て、国民一人一人が自分で○×を付けてチェックしておこうではないか。どうせ彼らは、選挙になれば耳触りのよいことしか言わない。空虚な公約やマニフェストに騙されないよう、今から「通信簿」を付けておけば、次の選挙の時に必ず役に立つ。
“必ず役に”たちますように。というか、次の審判で間に合いますように。
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