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『ルンタ』@元町映画館

先日神戸公開記念イベントに行ってきた映画『ルンタ』を観に元町映画館へ。Dsc06711
今週を逃すと行く日がなさそうなので、ギリ滑り込みな感じで。
「ルンタ」とは、チベット語で「風(lung)の馬(ta)」。

チベットでは、ルンタが空を駈けて願いを天に届けてくれるという信仰があり、Dsc_2488峠や家々の屋根などにルンタの姿を刷った五色のタルチョがはためいているそうだ(タルチョは知ってたけど、そんな印刷があったとは知らなかった)。
ちなみにコレは、仏画の絵師中村美希さんが描いたルンタ。

チベットは、元々独自の言語・文化を持つ独立国家で、仏教の教えを敬虔に守る穏やかな人々の国。
ところが、1950年に中国が武力で侵攻してから受難の歴史が始まった。たくさんあった寺院はほとんどが破壊され、僧や尼僧らは強制的に還俗させられ、経典は焼かれ、仏像は溶かされた。
肥沃だったり役立つ土地は勝手に分配され、遊牧民は追いやられ、抵抗する人々は容赦なく迫害された。

元々山地で、生産力のない土地に多くの漢民族が侵攻。拷問や戦闘、飢餓によって死亡したチベット人は120万人にも及ぶと言われている。
チベット人たちが心のよりどころとしてきたダライラマ14世は、動乱を避けるためにインドへの亡命を余儀なくさせられた。残った人々は、自由と人権を求めて中国支配に抵抗したが、裁判もなく投獄され、拷問が待ち受けていた。そのような悲惨な状況に対して、武力で対抗するのではなく、「焼身抗議」を続けるチベット人たち。

彼らは、仏教の教えによって「他者に害を成さぬこと」「自分の苦しみを他者が受けないように」と考えるのだとか。「利他」の心。

デモに参加したために逮捕されて何年も投獄され、凄惨な拷問の日々を生き抜いたある尼僧は、「自ら選んでやった行動なのだから後悔などしていない。(激しい拷問に)耐えることで、(中国側と)互角に戦えたと思う」と笑顔で語る。

「民族と国のために役に立つことをしなければ」と考え抜いた若者たちが、焼身抗議という行動に出ている。2008年から今年4月までの焼身抗議者の数、143名。大半が10代後半から20代の若い人たちで、女性も少なくないようだ。

そんなチベットの実情を取材してきた池谷薫監督と、インド北部の町ダラムサラに住み、チベット人たちの“焼身抗議”をブログから発信し続けているNGO代表の建築家、中原一博氏が案内役を務めるドキュメンタリーが本作品。とても重い映画だった。

★映画『ルンタ』池谷薫監督インタビュー(赤崎えいか)
 …ココ!

★チベットNOW@ルンタ(ダラムサラ通信 「ダライ・ラマの建築家」中原一博氏のブログ)
 …ココ!

程度の差こそあれ、世界中で悲惨なことが起きている。どうすれば平和に、お互いを認め合いながら生きていけるのだろう。人間は本当に業が深い。

「縁起」という言葉が何度も出てきた。そして、「利他」という思想で生きているこの国の人々に、学ぶことは多いような気がする。

それにしても、この映画で一番重いと感じた言葉は、「決意」。
できるかどうかじゃない。自分がするかどうか、の意思決定。
誰も気にもとめないキーワードかもしれないけれど。

できたらこの作品も参考に。2007年の作品なので、焼身抗議が続出する前の話ですがお勧めです。
チベット情勢がよくわかる?篠田節子『転生』

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