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「百万人の山と自然 安全のための知識と技術 公開講座」@神戸

百万人の山と自然 安全のための知識と技術 公開講座」に参加した。
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2013年度と同じく、鹿屋体育大学・山本正嘉教授のお話から。
「秋山・冬山を目指して」と題し、疲労を防ぐための歩き方とトレーニング方法について。

長野県における山岳遭難の15年分のデータによると、全事故のうち56%が天滑落、10%が病気による。転滑落は脚力不足が主な原因であり、病気のうち心臓突然死に関しては、心肺機能の不足が原因である可能性が高い。これらはいずれもトレーニングで克服することができる。脚力と心肺機能を鍛えれば、7割くらいの遭難が防げるのではないか、とのお話。

また、データによると、いわゆる“ベテラン”こそが危うい。
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2014年度夏の長野県内での遭難者は、60代、70代で10年以上の経験があるいわゆる“ベテラン”が突出して多かった。生還者へのアンケートによると、「体調はほぼ良好で、日常のトレーニングもしていて、コースタイム通りに歩けて、一般的な同世代に比べて体力はある方で、当該コースに対する自己の力量は妥当」と認識している人々が事故を起こしている。
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「日常的にトレーニングをしている」と思っている人のうち、多くは「平地のウォーキング」「駅などでの階段昇降」を挙げているが、これらはいずれも登山のためのトレーニングとしては有効ではない。心拍数を比較すると、登山はかなりハードな領域であり(ハイキングレベルでエアロビクスやバスケットに相当)、低い負荷の運動をいくらしても、健康維持の役には立っても登山には効果はない。
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一般的な「登山」は、ジョギングに相当するハードな運動であり、日常的に行うなら筋力強化に重点を置くべき。本チャンに備えては、近郊の低山で「きつい」と感じる少し手前くらいの強度で歩くこと。荷重や距離は本チャンを模擬して設定、水分摂取やカロリー補給も練習として意識的に行う。
頻度は、2週間に1回以上、年間で30日以上が望ましい。
中高年リーダー層を対象とした体力テストの結果によると、優秀な「A群」に分類された人たちの年間登山日数は平均55日。

第二部は、長野県警察本部山岳安全対策課救助隊隊長の宮﨑 茂男氏。
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会場に行くとき、エレベータでご一緒した方だー。スーツをパリッと着こなしておられたので、山ヤさんに見えなかったんだけど、やっぱり制服がステキだ。
数多くの救助現場での事例を写真で紹介してくださって、中でも昨年9月の御嶽山噴火のあとの救助活動については印象的だった。自衛隊、消防、警察が連携して多くの隊員が現地へ行かれたが、噴火が続く可能性のある中、二次被害があるかもしれないのに隊員を送り出さなければならない指揮者はつらかっただろうと思う。

そのほか、登山届を出しておくことの重要性、「コンパス」の活用、ヘルメット着用についても。北アルプスではヘルメット着用が推奨されて、山小屋で貸し出しも行っているが、ヘルメットが有効なのは落石のみではない。樹林帯の中の登山道から転落して、頭部に怪我をする事例も多いが、ヘルメットを着用していれば被害を軽減できる。
「ぜひお気に入りのマイヘルメットを購入し、里山でも着用を」と呼びかけておられた。

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