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『東京が壊滅する日――フクシマと日本の運命』

じつは『原発事故と科学的方法』より先に読了していたのだが、Tokyo_kaimethu内容があまりに衝撃的すぎて、どうレビューすればいいのかよくわからず、とりあえず保留せざるを得なかった。とてつもないことが書かれているのだ。
だがこの著者は、原発事故が起きる前年に、『原子炉時限爆弾』という警告書を書いており、それは東海地震を想定したものであったが、東北でそのまま現実になってしまったという経緯がある。同書のレビューで私は「“想定外”を振りかざす関係機関がこのことを知らなかったとすれば、それは“罪”、知っていて放置したのであれば、それはとてつもない大罪であると思う。」と書いたのだが、『原発事故と科学的方法』によれば、想定外なんかではなかったようである。
おそらく、そんなことも織り込み済みで書かれたと思われる本書、広瀬氏の怒りが行間に滲み出しているように感じられる。そのためか、文章のタッチがいささか過激で、読み流すと「この内容、本当に信用して大丈夫なのか?」という印象を受けるのだが、データはすべて出典を明らかにしてあり、「トンデモ」系のものとは違うと思う。

発売当日から大きな話題となり、発売5日で増刷が決定…という話題書、ぜひ一読して、判断してみていただきたい。

『東京が壊滅する日――フクシマと日本の運命』
広瀬隆 著
ダイヤモンド社 刊
2015年7月 初版発行

一部抜粋。

著者はなぜ、これほど原発問題に関わるのか。

第2章 「なぜ、本当の事実が、次々と闇に葬り去られるのか?」から
P81
 食品汚染について述べた以上、普段口にしないことを記しておきたい。私自身は若い時代に東北の開拓農場で酪農を体験してから、その魅力にとりつかれ、都会を離れて酪農家になろうと志した人間である。しかし一旦、原発事故が起これば、どれほど自然豊かな土地にいても農家が最大の汚染被害を受けるのだから、まず先に原発を廃絶してから農業に入ろうと決意して、畑仕事をしながら、原発反対運動に身を投じた。
(中略)
 読者がもし、本書に述べている「医学上の事実」に感情の刃を向けたいなら、その刃を向けるべき先は、この原発事故を引き起こし、東日本の愛すべき大自然を猛毒物で汚染し、農家と漁民をはじめとする住民を苦しめてきた“責任者”の東京電力と、今なお、原発の再稼働計画を進めて、別の土地で次の大事故を起こそうとし、最後には、地下水豊かな日本の大地に10万年の管理をしなければならない恐怖の放射性廃棄物を埋めようとしている人間たち―自民党・公明党政権、全電力会社、原子力規制委員会、原子力規制庁である。
 汚染食品の問題に関して、私の忍耐は限度を超えている。生産者と消費者は“共に被害者”なのである。その両者が言い争えば、“フクシマ事故の責任者”が漁夫の利を占め、雲隠れしてしまうことを、誰もが決して忘れてはならない。


【参考サイト】
2011年3月16日の段階で、「破局は避けられるか――福島原発事故の真相」 というレポートがリリースされている。

★のんきな東京人にトテツモナイ「3つの実害」がふりかかる日
 ――エッセンシャル版・緊急特別講演会【パート1】 2015年12月19日
  … ココ!

★岡山大学・津田敏秀教授の「衝撃レポート」に何が書かれていたのか?
 ――エッセンシャル版・緊急特別講演会【パート2】 2015年12月23日
  … ココ!

★なぜ、東京で白内障、心筋梗塞が激増するのか?
 ――エッセンシャル版・緊急特別講演会【パート3】 2015年12月26日
 … ココ!

★「トテツモナイ・トリチウム」記事はなぜ、100万PVを突破したのか?
 ――エッセンシャル版・緊急特別講演会【パート4】 2015年12月30日
  … ココ!

ここまでトンデモ本はマズイのでは?  
  文=山本一郎

★映像報告「チェルノブイリ・28年目の子どもたち」 …ココ!

★『美味しんぼ』弾圧のかげに何が隠れているのか?
  ――白石草×広瀬隆対談【前篇】 … ココ!

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