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『自分自身への審問』

2004年、講演中に脳出血で倒れた著者が、死に直面し、Shinmon長期の沈黙を余儀なくされたのち、インタビューに答える形で話すところから始まる自問自答の自作原稿を中心にまとめられた一冊。
記憶を失うこと、半身不随の身となること、などを通して、いろいろな想念が語られる。
それにしてもこの作家さんの、世の中との対峙のしかたには、いつもいつも恐れ入る。
これほど真摯に、いろんなものと向き合っている人の思考を垣間見たのち、ふと自分自身のいい加減さを振り返った時、忸怩たる思いにさいなまれてしまうのは、、、



『自分自身への審問』
辺見庸 著
毎日新聞社 刊
2006年3月 初版発行

★辺見庸公式ウェブサイト …ココ!
★(インタビュー)時流に抗う 作家・辺見庸さん 2016年1月21日
  …ココ!

著者が、本書の核となる部分をしたためたときの思いをつづった部分を一部抜粋してみる。

あとがき より
P188
 本書の「自分への審問」七十枚のすべてを私は病院でしたためた。癌の手術の前後に、病室に持ちこんだパソコンに打ち込んだのである。手術前夜も遅くまでキーボードを叩き、術後三日目には幾本もの管で躰をつながれたまま医師や看護師たちの目をぬすんでパソコンに向かった。そのときは痛みにうんうん呻りながらわずかに一、二行を作ったものの、すぐに息が切れてベッドに倒れた。私は何かに憑かれていたようだし、文を紡いでいた間中ずっと軽い興奮状態にもあった。病に倒れる以前にはついぞ味わったことのないいわばトランス状態に入っていたわけだから、まさに神の思し召しがどうのこうのとでも書けばよさそうなものだが、そんな嘘を書く気はない。神意というものが万一実際に存在するものにせよ、私ごときにそれが宿るわけもないのである。 (中略)
 それでは、何が根っからの怠け者の私を文に向かわせたのだろう。思うに、独り黙していては到底堪ええない、血も凍るような不安と恐怖ではないだろうか。

★同じ著者による作品
絶望という抵抗
転換期を語る - 戦後70年の視点』神戸新聞特集記事より
愛と痛み 死刑をめぐって』毎日新聞社 刊(単行本) 

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